「座談会“義理人情”罷り通るー大衆小説功罪論」(『労働文化』1954年10月)は、青野季吉中島健蔵十返肇の鼎談で、今では珍しい大衆文学、特に時代小説批判である。早乙女貢だったか、これの中島健蔵にやたら怒っていたのだが、読んでみるとそうひどいことは言っていない。富田常雄の『弁慶」がひどいと言われているが、山本周五郎吉川英治は認めている。批判されているのは山手樹一郎源氏鶏太とかである。中島は「大衆小説と一概に言ってもだね、必らずしも程度が非常に低いとはきまっていないんだ」とか言っている。