永井龍男「雑文集 ネクタイの幅」講談社、1975

何しろアマゾンレビューからは閉め出されているし、読書メーターにはこの本の登録がないしするのでここに書いておく。最初のほうはいかにも身辺雑記や天気の話などが多かったが、自作解説や他の文学者の話になると面白くなる。子母沢寛が『戊辰物語』をほとんど一人で書いた話とか、企業人の伝記を書いた話とか、『庄野潤三全集』の月報の島尾敏雄の文章の話とか、小説書き以外には特に関心のない丹羽文雄とかで、人が出てこないと面白くないようである。

小谷野敦

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