どうして男はそうなんだろうか会議 ――いろいろ語り合って見えてきた「これからの男」のこと ・澁谷知美・清田隆之編    アマゾンレビュー

フェミニズム系男性論
星2つ 、2022/09/26
渋谷や清田らは「フェミニズム系男性論」の書き手だから、本書もそういうバイアスの下で書かれている。私の『もてない男』は、批判したいならすればいいのに(しかも筑摩書房の本で)完全に無視。「セックスの相手がいない苦しみ」を、彼らはいつものことだが「童貞であることをからかわれる苦しみ」に話をすり変えてしまう。ソープランドへ行ってもいいのかどうかという問いさえ出てこないし、坂爪真吾でさえ無視されている。前川直哉が「ホモソーシャル」について修正しているのはいいが(女のホモソーシャルもある)、「ミソジニー」といったら漱石の「こころ」だろうと私は思う。北村紗衣の名も出てくるが、北村のタランティーノ好きには、女は暴力好きでもいいのか?(「ババヤガの夜」とか) という疑念を私は感じるのだが、そういうまずいところには突っ込んでくれない、フェミニズム検閲済みの本である