永田久光『女にもてない本』

 永田久光(1921-?)は広告研究をした業界人でつまり糸井重里三浦展みたいな人でその方面の著作が多い。最後はなぜか共産党関係の本が三点くらいある。『女にもてない本』は1961年、青春出版社、私が入手したのは63年の7刷。売れたのだ。
 内容は、女にもてるとカネがかかるから、もてない方がいいとかいう話で、あと女房となった女がいかに恐ろしいかとショーペンハウアー女性嫌悪の言が続く。女が自分を磨くのはPRであるから、買う側の男に大した需要はないのだ、だから「たいていの男は、バカか狂人でない限りにおいては、たいてい一人の女房を得ている」とか書いてある。
 あと「女の口からでる“いいえ”は、否定ではない」というのはサー・フィリップ・シドニーの『アストロフェルとステラ』に出てくるとあるが、まだ確認できず。「強姦された女でも、いつしかその男を愛するようになるということは古今の情緒小説を見ると分かる」(大意)などとある。
 「昔のドン・ファンといわれた男たちは相手となる女性との間に肉体関係はなかった」とか、何のことを言っているのか分からんのもあって、著者も途中で飽きてきたらしく、筆致が投げやりになっていく。まあ、ほぼ中身はない。