小宮彰さんの追悼文に、前川裕さんのものがあった。やはり比較の出身で法政大で英語を教えていて、「クリーピー」で作家になった人だが、前川さんによると、小宮さんは小説を読まない人だったらしく、「クリーピー」読んだよ、とだけ前川さんに言ったという。
研究対象は確かにルソーや安藤昌益や寺田寅彦だったわけだが、安房直子というのもあったのは、児童文学ならいいということか。これで私は「児童文学を読む会」にいたIさんを思い出した。理系で、さる大学の教授になったはずだが、宮澤賢治が大好きで、詩も好きだったが、ある時突然、文学=小説の悪口を言い出したので、この人にとっては小説と「童話・詩」はまったく違うものなのだと知って驚いたことがあった。
沓掛良彦先生も、詩がやたら好きだが、小説は読まないと、ほとんど憎悪をこめて言っていた。