2009-08-01から1ヶ月間の記事一覧

音声中心主義?

ニキータ・ミハルコフの父のセルゲイが死んだが、96歳。長生きしたものだ。あとフランク・カーモウドもまだ90歳で生きているらしいが、カーモウドの代表作のひとつ『終りの感覚』は、確か某女子大での連続講演がもとになっていた。しかしこれは難解な本で、…

勝手に宣伝

前に紹介した http://d.hatena.ne.jp/jun-jun1965/20081116 実村文さんが、自作を演出するので、当人の承諾もなく勝手に宣伝します。http://www.unit-sala.asia/homesala.html 実はこれを見て『駒場学派』を一カ所訂正しなければならないことに気付きました…

意地悪

書評というのはつらい仕事である。仮に自分で本を選べるとしても、一ヶ月から三カ月のスパンでいい本を見つけ出すのはかなり困難で、普通に本を読んでいていい本だなと思っても十年くらい前の本だったりするし、ではそれが出た時に見つけられるかというとそ…

野球嫌い

私は、野球が嫌いである。今はそうでもないが、私の若いころなど、野球帝国主義で、男なら野球を好きでなければ日本人に非ずという雰囲気があった。要するに米国人のまねである。 もちろんそこには、シーズン中は毎日毎日野球ばかり見ている父親への不快感も…

年齢別レビューの提唱

むかし鴻上尚史が、女子高生などが自分の芝居を観に来ると、「君らの年で分かるわけないんだから」と言って帰した、と書いていた。 では二十歳になったらみんな一斉に大人になるかといえばそんなことはもちろんなくて、四十くらいにならないと分からない小説…

谷岡雅樹はすごい

キネ旬ベストテンを目安に映画を観ているくせにキネ旬本誌なんか20年以上見たことがないのに、前回の「童貞放浪記」の評で、いったいこいつらはどういう映画の見方をしているのかと最新号を図書館で見たら、唯一「童貞放浪記」を褒めた谷岡雅樹の評が素晴ら…

大学一年の時、同じクラスにNという男がいた。筑駒から一浪で入ってきた。この男が、アニメ・少女マンガ好きであった。詳細は不明だがアニパロ同人誌にもかかわっていたらしく、私をアニメ好きと見て、時おりそのアニパロ誌を笑いながら見せるのだが、どう…

芥川賞直木賞贈呈式

芥川賞・直木賞の贈呈式に行ってきた。他の文学賞は割とほいほい招待状が来るのだが、これだけは今回が初めてで、それはたぶん北村さんが招待者に入れてくれたからで、たぶん今後このような機会があるとは思われないので話の種に。 えらく来賓が多いのは当然…

岩佐又兵衛

辻惟雄『岩佐又兵衛』(文春新書)には、大橋新太郎を、博文館の創業者、と書いてある。むろん間違いで、創業は父の佐平である。ところが砂川幸雄『浮世絵師又兵衛はなぜ消されたか』(草思社、1995)を見たら同じことが書いてあり、しかも新太郎がそれ以前…

ファンクラブ

私が鮫島有美子ファンクラブに入っていたことは書いたが、実は仲道郁代ファンクラブにも、一期分だけ参加していた。そして仲道さんを囲む会にも出たことがある。まあ若い男が三分の一、ピアノを習っている少女とその母が三分の一、高齢者三分の一という感じ…

「誤読」の誤用

最近「誤読」という語を誤用する者が多いが、これは知らずに誤用しているのではなくて意図的にやっているのである。 その嚆矢は、東大駒場の中沢新一事件ではあるまいか。あの時、中沢の『虹の理論』に「198X年」とあるのを指して、杉本大一郎が、これは学問…

明治の暗さ 

新田次郎『八甲田山死の彷徨』の新潮文庫版の山本健吉の解説が、高橋誠一郎の「明治というとよい時代のように言う人がいるが私の印象では暗い時代だった」という言を引いて同意していて、私ははたと膝を打った。 私もそう思う。テレビドラマなどは、中産階級…

ビルドゥングスロマン?

大学生のころ、児童文学のサークルで『ガンダム』の話をしていて、私が、いやあほかの男を好きになっているミライさんを見守るブライトがいいですねえ、と言ったら、某先輩があははと笑って「ブライトが一番成長してないじゃない」と言ったので、ほお、と思…

卑怯者一人

実は『童貞放浪記』の封切り前の阿佐ヶ谷でのイヴェントで、出演を承諾してから「昼間たかし」という奴が来ると知って私は仰天して、昼間なぞと同席はごめんだ、と言ったら、一緒には出ない、ということだったが、一瞬だけ顔を合わせてしまった。 この昼間と…

敗戦記念日

「悲しみだけが夢をみる」をDVD化してほしいなあ。 - 「兵站」という概念を知った時の衝撃はよく覚えている。それまで私が見たり読んだりしていたファンタジー風の戦物語には「兵站」などなかった。登場人物はいつものを食っているのか分からず、便所へ行…

受賞するなんて思ってなくて・・・

http://www.yomiuri.co.jp/book/news/20090813bk09.htm「夕食の空揚げを揚げていて受賞連絡を受けた。「もう頭が真っ白……」。」 栗原さんもそんなことを書いていたが、私には信じられない。最終候補に残って今日が選考だと聞いたら、私なら朝から何も手につ…

浜田寿美男について

ヘーゲル君が、浜田寿美男がどうとか言っていたので、調べてみた。名前は確か人間学アカデミーの講師として聞いたことがあったが、発達心理学者、元花園大教授、現奈良女子大教授。 著書多数。中には甲山事件など冤罪に関するもの、私とは何かみたいな哲学系…

講談社文芸文庫

里見とん『恋ごころ』という短編集が出たことを知った。 http://shop.kodansha.jp/bc2_bc/search_view.jsp?b=2900572&x=B しかしこの「明治、大正、昭和の文芸界を悠々と生き抜いた「馬鹿正直」で」ってところ、私のとん伝の解説文そのままではないか。むろ…

藤原正彦『若き数学者のアメリカ』を流し読みする。「アメリカへ留学して帰ってきた男はナショナリストになる」という定理の、例外かと思われていた藤原だが、20年ほどの時を隔てて、なったもなったり、国語がどうの国家の品格がどうの武士道がどうのとすご…

今年の大河ドラマはいや

もう最近はまともに観ていない。今日はたまたま観てしまったが、なんで毛利輝元が中尾彬なんだ。あの当時の輝元はせいぜい四十前後だぞ。それに小早川秀秋が小早川家へ養子に行ったのは満で12歳のころだ。全然そうは見えんではないか。 - 千田川(安芸乃島)…

原体験あり

あ、そうだ。映画『童貞放浪記』はエンドクレジットのあとまで観て下さい。 http://d.hatena.ne.jp/maasha/20090808/p1#c UBCでの博士論文執筆資格審査試験に落ちた時のことは前に書いた。その時鶴田欣也が、私の答案の非論理をいちいちあげつらったこと…

雉も鳴かずば

『週刊朝日』と『文學界』の連載のおかげで、東浩紀ってのはアニメとゲーム以外に碌な教養がないということが分かってきた。今月の『文學界』なんて、まるで修士課程の院生のレポートだ。「アウシュヴィッツのあとで詩を語るのは野蛮である」なんて、性格の…

自殺について

断わっておくが、私は自殺というものについてまったく冷淡である。 ドストエフスキーの『悪霊』のキリーロフとか、何の意味があるのかまったく分からない。 私に向かって「死んでやるー」と叫んだって無駄である。「人に迷惑をかけない死に方をしてくれ」と…

ある種の愚かさについて

『ノルウェイの森』がベストセラーになったから自分は攻撃されるようになったと村上春樹が言っていると目にしたような気がするが、まあそれはそうだろう。『失楽園』がベストセラーになってから、渡辺淳一をバカにしてもいいという空気が醸成されて、渡辺が…

おなじみの世界

『週刊朝日』で永江が、副島と植草の本を評して「陰謀論はおもしろい」と書いていて、ああそうかと目からウロコが落ちた。なんでみんなあんなパッチもんに本気になるのかと思っていたのである。もちろん、CIAやらユダヤの陰謀やらというのは、私には、松…

問答無用

大学四年で教育実習に、出身中学に行っていた時のこと、授業計画を書かされた中に「摑む」という文字があった。それを教頭か何かに見せたら、「ああ、この字は旧字なので…直して…」と言われ、私は「ああ、これは当用漢字になっていないので、旧字ではないの…

岩波文化人

1980年代、要するに「ニューアカ・ブーム」の当時、「岩波文化人」というのは蔑称だった。山口昌男、大江健三郎らが編集委員となって創刊された『へるめす』というのがあって、ここに書く人たちは「山口組」と蔑称で呼ばれ、学生のころ私が「こないだ『へる…

ノベルスの世界

枡野さんの『僕は運動おんち』に触発されて、運動できない男の私小説を書こうと思ったのだが、どうもうまくいかない。 ところで大学生のころよく「勉強ばかりしてきたから運動できないんじゃないか」などと言われたものだが、それはまったく違うのであって、…

宮崎あおいと精神分析

最近、宮崎あおいをよく見る。いやもちろん現物じゃなくて。そしてそのたびに魅かれては、いかんいかん、こんな童顔で鼻ペチャ女のどこがいいのだ、と振り払うのだ。 勢いがあると人は美しく見える。しかし、20年もたって見ると完全に色あせていたりするもの…