高田衛『八犬伝の世界』アマゾンレビュー

2020年9月18日に日本でレビュー済み

 
今年90歳になる著者の作。なお高田の専門は上田秋成である。本書は「八犬伝」が書かれた背景、作品紹介としてはいいが、高田独自の説である八犬士を普賢菩薩八大童子とする説は認められていないし私も認めない。特に、八犬士の犬江親兵衛をのぞく七人を北斗七星に擬しながら、親兵衛を副星とするのは不可解で、親兵衛は北極星とすべきである。その時、伏姫は豊玉姫になぞらえられ、親兵衛はニニギの命となり、金椀家は天皇家、里見家は徳川氏とする見立てが成り立つ。そして最後の管領戦は、日本と諸外国との将来起こるべき戦争を寓意しているのである。それについては私の『八犬伝綺想』に書いてある。