2012-01-01から1年間の記事一覧

富野由悠季の自伝『だから僕は…』(増補改訂版)を初めて読んだのだが、最初の方(40p)に、本当のことなんか言ったら仕事からスポイルされるかもしれない、と書いてある。どう考えても、干される、の意味で、それならパージとかで、スポイルにそういう意味…

島弘之(1956-)が死んだようだ。ツイッターで書いてもほとんど反響がなく、忘れられた人になっていたようだ。実際、今世紀に入ってからは、文藝詩のみならず学術論文すら書いていなかったのだからしょうがない。一人暮らしで、八月ころ死んで、大学へ出てこ…

時間差

私は2009年から名前の読みを「とん」にして、このたびもとに戻したのだが、今ごろ「とんだったのか」などとブログに書いている人がいる。その昔、荒俣宏が杉浦日向子と結婚して一年ほどで別れたころ、地方の大学教授が荒俣の話をして「なんだか最近きれいな…

奇妙なアマゾンレビュー

といっても私の本の、ではない。小澤浩(1937年- )という宗教学者の『ザ学長』という本である。おざわ、と読まれそうだが、これでこざわと読む。恐らく何度も「おざわ」と読まれてきただろうと思うと、「おやの」だの「おのや」だのと言われてきた身として…

ナディアのオープニング

私は『ふしぎの海のナディア』が好きなのだが、どうも『ふしぎな島のフローネ』があるので、「な」か「の」か分からなくなる。(間違えていたので直した) しかしストーリー的にはかなりひどい。めちゃめちゃで面白いならいいのだが、中だるみが激しい。単に…

三木竹二の妻

http://d.hatena.ne.jp/jyunku/20070308 ここに出てくる近松秋江の「再婚」(大正四年)が、中央公論社の『日本の文学 田山花袋・近松秋江・岩野泡鳴」に入っているのだが、実は鴎外の「本家分家」が、秋江の「再婚」への反駁として書かれたということを明ら…

「金鶴泳」の読み方・その2

『金鶴泳作品集成』が、奥付で著者名に「きんかくえい」とルビを振っているのに、国会図書館で「キムハギョンサクヒンシュウセイ」としている件、返事は、 当館の運用といたしまして、 タイトルの読みにつきまして、 「書誌作成対象資料から判明した読み」よ…

天皇と同和

自由同和会という保守系の団体があることを私は知らなかったのだが、橋下について『週刊朝日』に抗議した文書に、「身分制を肯定し」とあったからおやおやと驚いた。橋下は天皇制というれっきとした身分制を肯定する人ではないのか。 それで自由同和会にメー…

牧野陽子さんの受賞を祝う。

比較文学の先輩である牧野陽子さんが角川源義賞文学部門を受賞した。これは二冊目の著作で牧野さんの博士論文でもある、ラフカディオ・ハーン論である。牧野さんとは、もしかしたら大勢のパーティなどで一緒だったことがあるかもしれないのだが、ちゃんとお…

「金鶴泳」の読み方

1985年に自殺した作家・金鶴泳を私は「きんかくえい」と読んできたが、先日、国会図書館で「キム・ハギョン」になっているのに気付いた。「直木賞のすべて」でもそうなっている。自殺した時の新聞記事は「きんかくえい」だった。いったいいつ変ったのかと思…

宮崎哲弥の夫婦同姓論

『週刊文春』の宮崎哲弥の連載「時事放弾」は、なんだか懸命に橋下の話題を避けているようなのだが、今回は夫婦別姓論についてである。伊達蝶江子(ちえこ、生年不詳)の『女姓婚のススメ』(メディアファクトリー、2011)を紹介している。宮崎哲弥は旧姓名…

「純と愛」にはまる。

NHK朝の連続テレビ小説「純と愛」を毎日観ている。私はこれを「朝ドラ」と言うのがリゴリズム的に嫌で、往年、「銀河テレビ小説」を「銀河ドラマ」と言うのも嫌だった。しかし柔軟性も必要なので使うと、朝ドラを毎日観るなんてのは『ひらり』以来、ほぼ2…

大江健三郎「火山」

1978年秋、高校一年生だった私は、『国文学解釈と鑑賞』の「作家と出発期」という特集号を買った。作家になろうと考え始めていたため、この特集が気になったのであり、その巻末におかれた、戦後作家処女作一覧など、葦編三絶するほどに開き見たものである。 …

恐怖の剽窃論争

安田寛(1948- )という人の『バイエルの謎 日本文化になったピアノ教則本』(音楽之友社、2012)を栗原裕一郎が紹介していたので覗いてみた。フェルディナント・バイエルという、日本でピアノ教則本で名を知られる人について、不明な点が多いというので調べ…

以前、斎藤道三二人説というのについて、学術論文がないかと探したのだが見つからず、『歴史読本』あたりに書いてあるのを参考にしたことがある。最近、宮本昌孝がこれを小説にした『ふたり道三』を読んでいるがこれがまことに面白い。傑作である。するうち…

「瓜二つ」か?

「1990年文藝春秋刊『紙の中の黙示録』(佐野眞一著)の38P〜43Pは1988年文藝春秋刊『新東洋事情』(深田祐介著)の70P〜73P(文庫版)と瓜二つで大宅賞選考委員だった深田」が怒ったと、猪瀬直樹がツイートしていた。 そこで確認してみた。いずれも、不…

「国盗り物語」ラスト

(山崎の戦いに敗れ、家臣らとともに落ちていく明智光秀。馬上) 「運ではない。負けるべくして負けた戦かもしれぬ。これも時の流れか。既に下剋上の世は遠く、人々は主信長を討ったわしを見放し始めている」 (竹藪の中で、近づく落ち武者狩り) 「だが、ほ…

京都府公安委員会

例の大槻のうそつき取り調べは、京都府警本部でも、嘘をついた事実はないと言い、「つまり嘘をつく(府警本部が)ってことですか」と問うと「そうとってもらっても構いません」と言うので、京都府公安委員会に苦情申し立て書を送った。すると開封してそのま…

岩波文庫の伊藤梅宇『見聞談叢』を読んだ。梅宇は仁斎の子で東涯の異母弟だが、西鶴の本名が平山藤五であることが、この随筆によって知られたというものである。ところで校訂は亀井伸明なのだが、この人がどういう人なのか全然分からない。著作はこの校訂し…

流浪の民(シューマン)

小学六年生の時音楽の授業で聴いて以来好きな曲。この訳詞はドイツ文学者石倉小三郎(1881-1965)が東大独文科在学中に作ったもの。

丸谷才一死去

私が大学院へ入つた時に行われた八王子セミナーハウスでの合宿には、芳賀先生の縁で大岡信が講演に来ていたのだが、丸谷才一らと連句をした時に丸谷が「モンローの伝記下訳五萬円」とやったたのでみな呆れたが、大岡がそのあとへ「どさりと落ちる軒の残雪」…

高田先生は間違えただけなんだ

『文藝春秋』11月号を立ち読みしたら、「60歳になったら再読したい本」とかいう小文特集があって、渡辺京二が高田衛の『八犬伝の世界』(中公新書)をあげていたが、最後に、高田は八犬士の「シバルリー」をseverelyと解しているがこれはchivalry ではないか…

スパムファックス

http://yaplog.jp/yama777/archive/2 通常の電話とは間合いの違う妙な呼び出し音で、検索したら、これ。 03-5657-6055 6056 6057 6063 6060 が立て続けに鳴ったが、これがスパムファックスらしい。

ディレンマ

こういうディレンマがある。ハードカヴァーの論文集に入れた、詳しく書いた論文(評論)があって、同じ内容を簡単に新書判に書く、ないしはネット上に書く。すると、後者だけ読んであれこれ言うやつがいる。 では最初の論文をPDFにでもしてあげるか、と思…

著書訂正

『文学賞の光と影』 77p「志茂田景樹が『人間革命』のゴーストライターをしていた」 ゴーストライター要員にはされたが、書く前に学会を辞めていた。 104p、宮内勝典が大阪芸術大学卒 間違い。高卒。 - こないだある人が、高橋源一郎が谷崎賞をとったこと…

馬琴の妻お百と会田氏

曲亭馬琴と偕老同穴で連れ添った妻お百は、嫁の土岐村路が美化されるのに比して悪妻とされ、人気がない。そのためか、その家系についてもまとめた文章が見当たらないが、内田保広が言うように、武蔵国埼玉郡の現在の越谷市の生まれで、会田氏であることを考…

京都府南警察のうそつき取り調べ

http://www.youtube.com/watch?v=IJHb2y0xsBQ 2010年4月7日年に京都府南警察の大槻暁の取り調べを受けた時の音声をアップする。画像は適当につけたので無視して下さい。もうちょっと編集できると良かったのだが難しくてこんなになった。 さて問題は、大槻が…

『文芸日女道』532号の巻末に、「芥川龍之介研究の権威」エス・ワイ氏から森本宛の手紙の抜粋が載っていた。そこに「私の名前を出してくださったことは全然かまいません。むしろ感謝しています」とあり、私は首を捻った。なぜならこれは、エス氏の『評伝松岡…

『文芸日女道』の532、533号が届いた。今度は本名で注文したが、26日に振り込んで今日である。途中で催促の電話をし、昨日は内容証明を出してしまった。 それはさておき、533号の森本穫の連載の最終回はすごい。『事故のてんまつ』のヒロイン「鹿沢縫子」に…