私が大学院へ入つた時に行われた八王子セミナーハウスでの合宿には、芳賀先生の縁で大岡信が講演に来ていたのだが、丸谷才一らと連句をした時に丸谷が「モンローの伝記下訳五萬円」とやったたのでみな呆れたが、大岡がそのあとへ「どさりと落ちる軒の残雪」とつけた、と言うので、みなおおーと感心したのだが、これはどの本に載っているのか、確認を忘れていた。
しかし、もし丸谷がモンローってもちろんノーマ・ジーンであろうが、その伝記の下訳をしたのか、というに、モンローが死んで伝記が出るころは丸谷はもう45を超している。
可能性があるのはノーマン・メイラーの『マリリン : その実像と死』(中井勲訳 継書房: 高等教育研究会 (発売), 1973)なのだが、この中井勲という人、1917年生まれだから確かに丸谷より年上なのだが、何者だか全然今のところ分からない。現物を見るとプロファイルあるのだろうか。
(付記:中井は、愛媛県宇和島市に生まる。
早稲田大学文学部英文学科卒業。
1946年、ラバウルから復員。
その後、イブニングスター社出版部長を経て、文筆生活に入る。
ということで、没年不詳。
丸谷、大岡、高橋治、井上ひさし『とくとく歌仙』を見たが、当該句はなかった。ただし高橋の、
「モンローの脚バルドーの胸」
というのがあった。しかしこのメンバー、井上以外は東大卒だ。)
http://kasen.zzl.org/Shanghai_Kasen_Club/shinshu.html
ここにあった。おそらく『歌仙』(青土社、1981)に入っているのだろう。しかしこの本はなぜか国会図書館にもない。ただし『図書』は文藝誌ではない。