月報とボーナストラック

 本には、月報という冊子がついているのがある。だがこれは、図書館では抜け落ちていたり、古書店で買うとなかったりする。そのくせ、世界文学全集などなら訳者略歴、古典文学全集とかなら校訂者略歴、谷崎全集とかなら書誌情報とか、重要なことが書いてあるのだからたちが悪い。
 なんでわざわざ別刷にしているかというと、本来は、初版にだけついているサービスという建前だったのだろう。だが、二刷からなくなったら、困るので、実際にはずっとついている。無意味な慣習である。
 あと古いペーパーバックだと、カバーにしか著者紹介が載っていないというのがあって、これはカバーを捨ててしまう図書館などでは困りものなので、その個所だけ切り抜いて貼り付けているところも多い。
 最近むかつくのが「ボーナストラック」とかいう概念で、もともとはCDで、これはサービスだぜ、ってなことでついていたのだが、最近では本でまで、ボーナストラックなどと言うやからがいる。これもアホらしい。演奏会へ行くと、アンコールなどと称して、最初から用意しておいた曲を演奏したりするが、司会者が「拍手が鳴りやみません」などと言ってアンコールに入ると、どうにもばかばかしい。あれと同じだ。映画のDVDになると、映画本編とは違った、出演者インタビュー、予告編などが別についていることがあって、古い映画だとなるほどサービスだと思えるのだが、CDの新譜で「ボーナストラック」などとあると、購入者をおちょくってんのかと思うことがある。