数日前のことであった。西沢正史という、『源氏物語』などを研究していて、70歳を超えた大学教授だった人から突然手紙が来た。それまで何のかかわりもない人だが、私の本が面白かったと書いていた。
 だが、そのあと、ちょっと変なことが書いてあって、私の本をもっと読みたいから、文庫か新書で選集を出してほしい、とか、市民講座をやっているそうだがもっと拡充したらどうか、とか、三流大学の教授にはならないほうがいいとか、シリーズものの編集をしたらいい、とかある。だがいずれも、やろうと思ってできることではない。しかし、手助けをするとあって、メルアドも書いてあったから、出版社を紹介してくれたりするのでしょうか、と返事したら、「失礼いたしました」とのみ返事が来た。何かものがなしいことであった。

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大岡昇平の『少年』に、青山学院の同級生の頼新(あらた)というのが出てくる。頼山陽の孫の久一郎の子だという。のち第一軽銀社長、霊山護国神社尊敬者代表になったというが、2009年の新聞に訃報があった。
頼新氏(らい・あらた=頼山陽旧跡保存会理事長)4月14日、老衰で死去。102歳。告別式は近親者で済ませた。
 江戸時代後期の歴史家、頼山陽の5代目にあたる子孫。
 1906年か07年の生まれだが、大岡が09年だから07年だろうか。五代目だから曾孫ではなく玄孫で、久一郎が曾孫だろう。