「南部坂雪の別れ」の謎

 「南部坂雪の別れ」は、忠臣蔵の一コマだが、桃中軒雲右衛門の作とされている。討ち入りの前日大石内蔵助瑤泉院を訪ねるが、侍女の中に吉良の間者がいるのを見破り、討ち入りのことは言わず、旅日記だといって血判状の巻物を仏壇に供えて去る。するとその侍女がその巻物を奪おうとするので、取り押さえ、それで血判状だと分かるという話である。むろんまったくの虚構である。
 しかし大河ドラマ元禄太平記』には、この侍女のことがなかったような気がして、確認してみたら、確かに怪しい侍女を内蔵助が見咎める場面はあるが、侍女の巻物を奪って正体が露見するのがない。家臣が座敷に置いてある巻物を瑤泉院に差し出すと「ええいけがらわしい」と言って(松坂慶子)叩き落とすと、ばらけて血判状であることが分かる。それで慌てて外廊下へ出ると、雪の中傘をさして帰っていく大石(江守徹)と目があう、というのだが。
 総集編で観たからカットされたのかなあ。あの侍女を捕える場面がないと、まずいのではないか。