萩原孝雄氏との対話

 もう二週間くらい前から、米国ケース・ウェスタン・リザーヴ大学教授萩原孝雄氏とメールをしている。萩原氏は鶴田欣也先生の教え子であるが、このままでは日本はシナの属国になる、と言っている。私は、シナ、北朝鮮の現状では、日本の核武装もやむなしと思っているが、放っておくと属国になるとまでは思わない。いくら議論しても話がかみあわないので、それほど憂国の情に燃えているなら公開したらどうかと提案し、受け入れられたので、関係ない部分を適宜削ってここに往復メールとして公開する。

11月1日(萩原)
夕べ小谷野さんのブログを見て三島由紀夫が嫌いだということを知りました。私も大学生のころ『金閣寺』を読んでちんぷんかんぷんでした。現在では彼が何を言っているかだいたいわかります。ということで小谷野さんに対してちょっとした優越感を感じました。鶴田さんの分析はおもしろいですよ。あれがつまらないというのは小谷野さんと私のスタンスがかなりちがうということでしょう。
村上春樹は私も嫌いです。まあ、大嫌いといったほうがいいでしょう。理由がちょっとちがうかもしれませんが。私のは東浩紀が言うのと重なっています。
http://www.youtube.com/watch?v=Op7raZM_5sY
そして、彼がノーベル賞候補と聞くとなおさらだめだと思います。大江健三郎同様。
小谷野さんはサリンジャーライ麦を評価しないらしいけど、サリンジャーは村上とは似て非なるものです。
私は天皇の意義がよくわからないのですが、反日民主党が政権をとった日本は非常にやばいと思っています。尖閣や沖縄あたり、そしてシナ人の大量帰化などが日本崩壊、シナによる支配を早めるでしょう。民主党政権というのは日本崩壊の末期症状にすぎないのかもしれません。林房雄の「近代の超克」寄稿論文を読むと、すでに明治末期(いや初期)から現在の日本崩壊が始まっていたのではないかと思います。それはひとつには文明開化(欧化)です。だからこそ「近代の超克」だったのでしょう。
(小谷野)
まあ三島を評価しないというのはこれまであちこちに書いています。あるいは、同性愛の男の文学者はたいてい分からないですね。
村上春樹ノーベル賞はとらないでしょう。通俗ですから。
まあ何をもって崩壊というのか分かりませんが…。私は禁煙ファシズムを打破するには、比較的それがゆるいロシヤと中共に軍事占領されることしかないんじゃないかと思っています。
(萩原)
私は三島が本当に同性愛であったかどうかちょっと疑問なんですね。ではなかったという確信はないですが、村松剛はなかったといってますね。少なくともバイセクシャルじゃなかったかと思います。
ところで私は三島は嫌いというか、趣味に合わないというか、かわいそうというかそんな感じです。しかし彼が言わんとすることはかなり分かりますしおもしろいと思っています。
本気ですか。喫煙の自由とひきかえに日本がチベットウイグルのようになってもいいというのですか。崩壊というのはたとえばそのようなことです。
(小谷野)
村松剛は明らかに嘘をついています。三島は女性に失恋したことがあるので根っからの同性愛ではないでしょう。
もちろん冗談ですが、どうして日本がチベットのようになるのでしょう。そんなことはありえません。ありえるというなら説明してください。
2日(萩原)
この件は複雑多岐にわたることで、一言で説明できるようなことではありません。しかし、私の認識の一角は以下のようなことから推測してもらえると思います。
日本侵略
http://www.youtube.com/watch?v=1rmgrvYfwhQ&feature=related
政治
http://www.youtube.com/watch?v=dh9G97HTD64
http://www.youtube.com/watch?v=-zIppZp9yqg&feature=channel
http://www.youtube.com/watch?v=L5OMEvfmBNo
マスメディア
http://www.youtube.com/watch?v=U0M1V1ydLwo&feature=channel
http://www.youtube.com/watch?v=fvFR5QYr76o&feature=channel
http://www.youtube.com/watch?v=nsYpDWo9uxI&feature=related
http://www.youtube.com/watch?v=QU6J_d4Kj_k
軍事
http://www.youtube.com/watch?v=L5OMEvfmBNo
http://www.youtube.com/watch?v=wX7zLFKwDaM
http://panther.iza.ne.jp/blog/entry/1396219/
経済
http://circle.zoome.jp/matarihosyu/media/660
http://www.youtube.com/watch?v=XZXiVxEKwz0&feature=channel
その他 http://www.youtube.com/watch?v=wx7zlfkwdam
http://www.youtube.com/watch?v=2XzqzAxAY2Y&feature=related
http://www.youtube.com/watch?v=fsNO8E58LPo&feature=related
http://www.youtube.com/watch?v=Pn-hrK-XzkE&feature=related
http://www.youtube.com/watch?v=vEZnotiS-pY&feature=related
http://www.youtube.com/watch?v=iaG2pG_3WYw&feature=related
http://www.youtube.com/watch?v=yDCeTQk-3Ts&feature=fvw
大多数の日本人、上から下までの無知無関心。
(小谷野)
こんな、チャンネル桜なんか貼り付けてもダメですよ。こういうことは、『正論』とか『sapio』とかいう雑誌でもしょっちゅう言っています。この連中は危機感をあおって商売にしているだけです。
むろん、私は改憲論者だし、最終的には核武装が必要だと思いますよ。しかし改憲のものすごい高いハードルは、あの人気抜群の小泉でさえ超えられなかった。いかにこいつらが憤激したって、あの憲法を持っていたらシナと事を構えることなんかできないでしょう。
だいたい私にしてからが、改憲論者だというので、天皇制廃止論者なのに、多くの知識人から敬遠されているわけで、それで日本の知の世界が崩壊しているというなら、それはもう湾岸戦争の時から崩壊していますよ。
(萩原)
文章で説明すれば膨大な量と時間が必要だからビデオにしたのです。あの人たち(単に桜運営者だけでなく)がたんなるおためごかしで活動しているとは思えませんが。
>いかにこいつらが憤激したって、あの憲法を持っていたらシナと事を構えることなんかできないでしょう。
だからこそシナの属国化の危険性があるというのです。「こいつら」の最大の主張悲願は憲法改正だと思いますが。
いえ、すでに言ったように私は明治期にすでに「知の崩壊」は始まっていたと思います。漱石鴎外から三島まで心ある作家は警鐘を鳴らしていました。大江、春樹、ばなななどはその末期症状でしょう。
小谷野さんが現状(特に現憲法)のままでもチベットのような属国化はありえないと思う理由はなんですか。
3日(小谷野)
相変わらず意味が分かりませんねえ。漱石大逆事件の時に保身を決め込んだ人でしょう。
チベットのような属国化などというのが、どのような過程をへて実現するのか、説明してください。それに対して西側諸国が黙っていると思うのですか。
(萩原)
チベットのような属国化などというのが、どのような過程をへて実現するのか、説明
してください。
もうしました。すくなくとも一角は。「こいつら」が単にイゴイズムでやっているというならその論拠が欲しいですね。
>それに対して西側諸国が黙っていると思うのですか。
黙っていないでしょうね。しかし現在のチベットウイグルダルフール等に対する文句と程度の違いはあれ本質的な差はないでしょうね。国際関係は個人間の友誼、信義、道義とかで動くものではなく国益(イゴイズム)で動くものでしょう?
ということで私には小谷野さんの主張はあまり説得的ではありませんね。西側諸国のことでもいいですがなにかもうすこし具体的で説得的な論拠はありませんか。
(小谷野)
萩原さんは説明などしていません。チベットやモンゴルといった未開の周辺諸国を属国化するのと、日本を属国化するのとでは全然別の問題です。
「単に」エゴイズムでやっているなどとは言っていないでしょう。私は改憲核武装論だと言っているではありませんか。あの連中が信用されないのは、そこに必ず「天皇」がくっついてくるからですよ。
(萩原)
小谷野さんは私が貼ったビデオをちゃんと見ていないでしょう。早い話、日本は実質上アメリカの属国でしょう。近い将来世界的な覇権国シナの属国になってもおかしくありませんよ。
天皇(制)は用心する必要があると思いますが『楢山節考』が天皇(制)ならすてたものではないですね。
私は弥次喜多(エゴイスト)です。海外からの視点も大事ですよ。
(小谷野)
私は米国の属国だとは思いませんが、仮にそうだとしても、それをシナがとるのを米国が黙って見ているわけがないでしょうと。人のビデオを張りつけていないで、自分で論文でも書いて下さい。あんなものを長々と見るほど私は暇ではないんです。
(萩原)
ビデオでも言っていますが、米国の覇権は凋落の一途をたどっています。冷戦の二極構造から米国覇権の一極構造、そして多極構造へ。そのとき米国は日本という属国を護りきれるかどうか。また多大の犠牲をはらってまでそうする気があるかどうか。朝鮮という属国をめぐる日清戦争というのもありましたね。
これもビデオで言っていましたが、最近シナがハワイを中間線として米中で太平洋の覇権を二分しようと提案したそうです。米指導者の一部には興味を示したものもいたようです。現時点では冗談のような提案ですが。
長年北米(西洋)で暮らしていると日本人の危機管理上の無防備能天気には呆れるというか暗澹とするというか。
こちらで海千山千の人間たち(含シナ人)と渡り合うのは疲れもしますが面白いものでもありますよ。
平川先生の話に飛躍しますが、彼が最近『諸君!』に書いていた英語教育論はまずいですね。学者の域を出ていない。旧制高校的エリート教育をすれば会話力はあとからついてくるみたいなことを言っていますが、それではだめでしょう。シナに太刀打ちできない。海外に日本の意思が伝わらない。日本の国益に絶対に必要なのは、平川流エリート教育に加えてエリート早期教育による会話力(特に聴解力)の育成です。彼はフランスなどに留学したのになにを学んできたのでしょう。
4日(小谷野)
沖縄には既に核兵器が配備されていますよ。
だいたいこのインターネットの時代に、海外からの視点もくそもありません。情報なんかネット上にいくらでも転がっています。で、いったいいつになると、シナは日本をどのルートで侵略し、NATOやEUが黙って見ているのか、説明してもらいたいものです。その前に中共が崩壊するんじゃないですか。
東大でもどこでも、会話中心の英語教育に切り替えつつあって、しかし語彙が乏しいから全然ダメなので、平川先生はああ言っているのです。エリート早期教育っていうのはどういうことですか。小学生の時からエリートを選抜するのですか。中学校の習熟度別編成ですら、悪平等主義の左翼連中が反対するからできないのですよ。
(萩原)
冷戦後の米一極覇権は終わった、というか最初からなかったのです。多極構造の世界では日本は当然シナの覇権に呑み込まれるでしょう。台湾がそうなったように。
武力侵攻だけが侵略ではないでしょう。シナ共(シナ人)はそんなに単純ではない。
シナ共崩壊が一縷の望みですが、シナはソ連とは違うでしょう。しぶとい。
ネット?百聞は一見にしかず。
語彙とか文法とかの問題ではありません。Close the door.が三回聞き直しても聴き取れないこともあるのですよ。ネイチヴのディーンの真ん前に座っていて彼の言うことが50%しか聴きとれないこともあるのです。ラングとパロールの違いです。小谷野さんはこういうことをUBCで経験しませんでしたか。
11日(小谷野)
台湾はもともと原住民しか住んでいない土地なのだから一緒になりません。
一見ってどこで何を見たというのでしょう。ネットは映像も見せるではありませんか。
文書が読めなければどうにもなりません。そうではなくて、エリート教育自体が不可能なのです。なおラングとパロールとかいうのは、古臭いソシュール言語学で、今どきソシュールなどと言っているのは時代遅れですよ。
(萩原)
日本だってもともと縄文人(原住民)が住んでいた土地です。現在台湾は極東でも有数の先進国です。
一見というのは比喩です。こちらの人間と文字通り肌で接することです。
ネットでは絶対に経験できないことです。私は単に北米だけではなく世界各国にも旅行しています。東欧のある国には通算2ヶ月ほど滞在しました。職業柄英独仏はもちろんアフリカ、イスラエル、アラブ、イラン、トルコ、インド等世界各国からの人間と日々接触しています。
読み書きは前提です。エリート教育可不可ではなく必要かどうかを論じています。ラング、パロールは圧縮(速記)です。ラング(言語構造)、パロール(実践)とは、ネイティブインスティンクト有無の問題です。
パロールレベルではネイティブだってしょちゅういい間違い書き間違いをします。でも「本能的」に自己修正できます。ラング(ネイティブインスティンクト)があるからです。ノンネイティブはそれができません。読み書きならノンネイティブでも時間的余裕があります。しかし会話、聴解ではまったなしの場合がほとんどです。3回以上聞き返すことはできません。聞き返すことさえ許されない場合も多いのです。
日本語脳に固まってしまってからでは遅いのです。語学的に見込みがあり意欲のある子供たちに早期エリート教育をすべきです。平川流のエリート教育ももちろん必要です。このようなエリート1〜2万人くらいでもいいでしょう。彼らに政治経済はもちろん日本社会の主要分野のリーダーシップをとらせるべきです。
できるできないは別問題です。
(小谷野)
別に今の台湾だって中共に支配されてはいないでしょう。
また優秀な外交官なら不足はしていないと思いますよ。何が足りないのでしょうか。
(萩原)
こちらの台湾人と話した印象ですが、シナはもう台湾を武力侵略する必要はないと考えているようです。政治的経済的支配。少数原住民をのぞいて台湾人はもともとシナ系ですし。チベットのようにはならないかもしれないが、シナと香港の関係のようにはなるでしょう。日本はよくてシナと香港、悪くてシナとチベット、おそらくその中間ということかもしれません。
アメリカはすでに台湾をシナに対して守る気も力もない。これからは自分だけがたよりだ、ということはつまり寄らば大樹(シナ)の陰と達観しているようです。
私は伊藤貫におおむね賛成です。「「米国の核」頼みの日本は、十五年で中国の属国だ」『諸君!』2009年3月。
日本には鳩山由紀夫とか池田大作(巨大な俗物)とか国益を無視するような人間がいますが、寺島実郎という人物もその一人ですね。
私は天皇陛下万歳を人前で叫ぶ気にはちょっとなれませんが、あれを叫んでいる連中はひょっとして「根っこのおりんさん万歳」と言っているのかも知れません。それなら共感できます。国家(国体)にはそういうもの(かのやうに)が必要です。
優秀ってなにをもっていうのか知りませんが、最低限の必要条件として平川流の教養と私の言うバイリンガル、それが備わっていますか。
(小谷野)
まずだいたい、日本は米国の属国ではありません。もしそうなら、もっと英語がうまくなるはず。平川流の教養って何ですか? 
12日(萩原)
朝鮮は何百年もシナの属国だったけどシナ語を話さないでしょう。エリートが漢文できたくらいで。植民地と属国は必ずしも同じじゃない。
米国の属国。まあ準属国とでもいいましょうか。実質上の属国とでもいいましょうか。だからこそ「Noと言える日本」なんて本が出るわけで。
米国製憲法遵守。東京裁判史観の呪縛。なにかというと米国に莫大な金をむしりとられる。年次改革要望書。政治経済軍事教育文化等あらゆる面で属国のようなもの。
文科省は多数の人に買物用英語を教えることに目を奪われているが、肝要なのは少数の選ばれた人に徹底した外国語教育を授けることである。その後者のためのいわば松下政経塾の国立版を開設することこそが日本国家の生存に不可欠なのだ。世間は黒人のオバマが大統領に選ばれたことに目を奪われているが、それだけきちんと訓練された人だということである。彼が受けた訓練は日本の東大卒などの比ではない。東大名誉教授の私がいうのだから信用してもらいたい。
もし価値観による連帯を望むならば、外国語の習得によって言語に含まれる価値観を体得できるレベルまで学習せねばならない。
平川祐弘「地球化時代の英語学習と『源氏物語』の邂逅」『諸君!』2009年、4月号、122)
外国語教育は原典講読に随伴する副産物として会話の上手な人が出れば良いので、原則はあくまで近代古典を正確に和訳することで知性と感性を訓練することが第一義ではあるまいか。(同、129)」
単に会話の上手な人ではだめ。聴解がバイリンガルでなければだめ。発音は多少なまりがあってもしかたない。
よしりんの『天皇論』、アニミズム天皇をあつかったところがあるでしょう。あれです。おりんとは。楢山参りはご苦労さんでござんす。宮沢賢治天皇から読めますね。アニミズムはもちろん国柱会とか。私がここで言ってるよしりんは、江戸時代の庶民が天皇を知らなかったとかいう論争?とは関係ありません。
ところで、私の言う「かのやうに」は即非の論理の上での「かのやうに」です。鴎外の言うのと違う。
13日(小谷野)
だから朝鮮は漢文しかなくて、自国の古典がないのではありませんか。
で、いったい、そういうエリートに何をさせようというのですか? それを前から訊いているのですが。
(萩原)
論点がずれていますよ。自国の古典云々ではなくシナ語を話すかどうかということです。
言い忘れましたが「優れた外交官」とやらに自分の命を賭してまでの愛国心があるのですか。最低必要条件の一つだと思います。私は全然だめですが。
非科学的。これをなんとかしようとしたのが「近代の超克」シンポジウム。小谷野さんの科学的もいいがそれだけではだめでしょう。科学(啓蒙)とアニミズム(魔術)をどう超克するか。天皇がそれを止揚即非の論理)しているかもしれない。
(小谷野)
ずれてなんかいませんよ。日本はシナの属国ではなかったから、自国文化を発展させたのです。
だから、その外交官に、何をさせようというのですか。質問に答えて下さい。
科学を超克する必要がどこにあるのですか。
(萩原)
漢文(文語)とシナ語(口語)は違います。朝鮮では漢文も一部のエリートだけができた。属国なら(国民が)もっと英語(含口語)ができるはずだから始まった話です。朝鮮はシナの属国だったが一般国民はシナ語ができなかった。属国だからといってかならずしも宗主国の言葉が出来るようになるわけではない。植民地なら話は別でしょうが。
何をさせようという以前に相手のパンチがちゃんと見えるようにするということです。見えなければ応戦のしようがないじゃありませんか。小谷野さんはそういう経験はなかったのですか。
ところで外交官だけではなく日本の各分野でリーダーシップをとる英語のエリートは全員強い愛国心がないとだめ。そして通算でもいいから最低4,5年(できれば10年以上)の海外経験は必須。平川先生の言う三点測量と聴解力のバイリンガル(つまりマルチリンガル)、こういう連中によって日本の主権は護られる、だけでなく日本は相当面白い国になる。もちろん三点測量と聴解力のバイリンガル以外(あるいは兼ね備えていない者)にも優れた愛国者はいる。そういう連中の活躍貢献も絶対必要です。
科学をどう超克するかというより、科学(啓蒙)とアニミズム(魔術)の分裂乖離をどう超克するかということです。天皇(魔術)なんて馬鹿らしくってという合理科学主義、あるいは合理科学主義って機械的で虚しくない?という反動(魔術、サリン[アルケミー])をどう超克するかということです。
(小谷野)
私が言っているのもそういうことですよ。19世紀のロシヤでは貴族はフランス語ができた。日本が米国の属国なら、エリートは英語で話すはずだろうと。
変な比喩じゃなくて普通に話して下さい。何ですかパンチって。天皇がなんで魔術なんですか。あれは明治政府がこしらえたものでしょ。私の『天皇制批判の常識』を読んで下さい。
14日(萩原)
19世紀のロシアはフランスの属国だったのですか。
議論(特に外交)は言葉を武器とした格闘(闘争)です。
近代の天皇も根っこは古代のシャーマニズム(呪術)やアニミズムでしょう。魔術というゆえんです。かりに明治になってでっちあげられたものだとしても祭司的(神話的、つまり魔術的)存在であることにかわりはない。
さらに天皇を完全に議論からはずしたとしても、科学(啓蒙)と宗教(神話、魔術)の分裂乖離が近代の深刻な問題であることにかわりはありません。日本ではシンポジウム「近代の超克」、西洋ではたとえばアードルノ、ホルクハイマー『啓蒙の弁証法』がその辺の問題をあつかっています。
(小谷野)
属国でなくてさえ、先進文明だと思えばフランス語を話す。いわんや属国においてをや。
「近代の超克」とか『啓蒙の弁証法』とか、いずれも内容はないですよ。乖離も何も、魔術と云うのはインチキなものなのだから、なくなってしまえばよろしい。
ところで伊藤貫の文章の、内容は結構ですが、「十五年」とか、具体的なシミュレーションは本文中になかったです。『諸君!』というのはああいうペテンをやる雑誌だったのです。
要するにスパイを養成しろということですか。近代化が後期に入ると、「命を捨てる愛国心」の持ち主などというものはいなくなります。シナや韓国は後期近代に入っていないからああバカみたいに熱狂的なのです。だいたい戦争を65年もやっていない国でどうやって愛国心教育なんかするのですか。
外交には武力が必要でしょう。だから憲法を改正して核武装しなければ、何にもならないでしょう。
啓蒙の弁証法』というのは間違っていますね。啓蒙したからおかしくなったのではなくて、大衆というのは啓蒙できないものだ、というのが真実です。だから「民は知らしむべからず」って言うでしょう。
(萩原)
かならずしもそうではないでしょう。属国朝鮮はせいぜいエリートが漢文できたくらいで一般国民はできませんでした。
貴族やエリートができるというなら明治以来日本だって同様でしょう。とくに戦後では。
努力のわりにできない主原因は英語と日本語があまりに隔絶した言語だからです。英語ができるできないは属国とは直接関係ありませんね。
ここで魔術というのは宗教のことです。宗教もなくなったほうがいいというのですか、マルクス主義みたいに。
ところで宗教といってもいろいろあって、アインシュタインはもう人格神的宗教はだめだ将来は仏教がいいといっています。仏教は宗教なんでしょうか。
伊藤貫が言及している米国の国家情報会議報告書はそんなにでたらめなものではないでしょう。シュミレーションがないなどと難癖をつけている場合ですか。沖縄に核が配備されているなんていってる小谷野さんのほうがずっと能天気だと思いますが。
命を捨てる愛国者が出るかどうかではなく出なければ日本は危ういということです。
(小谷野)
「平川流の教養」というのは何ですか。いま東大の学生で文学などに関心のある者はほとんどいませんよ。平川先生も東大を離れて18年たつから知らんのでしょう。
ハワイは米国に併合される前は王族など英語で話していましたよ。
宗教と科学の乖離って何でしょう。それは別の分野であることはカントが明瞭に示しているではありませんか。
萩原さんが、シナの属国になると言うから、それは具体的にどうなるのかと訊いているのに、未だに答えられないではありませんか。シミュレーションがなんで難癖でしょう。
(萩原)
カントがダメだというのは、カントを全否定するということじゃなく、近代(科学と宗教の分裂)をカント(科学と宗教の峻別=分裂)で説明しようとすることが近代を近代(カント)で説明するというトートロジーだからダメだというのです。カントってヘーゲルとならんで近代性の代表選手でしょう。
まあ、無謬ということはなかなかないでしょうね。しかし、米国はさっそく諜報システムを改善したようですね。一方また、9.11は米国の凋落の一兆候かもしれませんね。