談志師匠の直言

 なんか検索すると私の書いたのばかり出てくるので、原文を掲げておく。『en-taxi』9号(2005年3月)談志師匠、福田和也談春の鼎談である。

家元 だけど野田秀樹の「研辰の討たれ」は、おもしろくなかったなあ。あれは仇討ちの話でしょう。勘九郎主演だから観に行ったんだけど、内容もひどいし、形式もひどい。(略)染五郎が楽屋で待ってるって言うから、俺も楽屋に行ったんだ。けなすのは嫌だから行きたくなかったんだけどね。勘九郎に「だいたいオマエなあ」って叱ろうとしたら、マ、マ、って止めるんだよ。あいつは俺の言いたいことわかってたんだな。(略)十八代目勘三郎襲名披露公演に行って、呆れ返っちゃった。それでまた、観客が喜んでてね。歌舞伎座に来てる連中はバカばっか。

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 昔、ある女がいて、「あたしは、弱いってことは恥ずかしいことだと思っていて、子供のころある虫が苦手だったんで、じっとその虫を見つめて克服したんです」と言っていたのだが、こういう「弱いことは恥」という思想が他人に振り向けられると怖いな、と思った。