シナでセクハラの国立大教授

 一昨年の「産経新聞」にこんな記事があった。

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「わいせつ日本人教授」国外退去処分 セクハラ苦情絶えない中国の大学
2003.7.11朝刊
 【北京=伊藤正】北京にある名門校、中国人民大学の日本人教授(四六)が同大に語学留学中の日本人女子学生(二〇)にわいせつ行為をし、国外退去処分を受けて帰国したことが十日、明らかになった。
 北京では元国立大教授が婦女暴行罪で服役中のほか、日本人教師のセクシュアルハラスメント(性的嫌がらせ)への苦情も絶えず、教師の質が問われている。
 留学生によると、今月二日夜、顔見知りの教授に誘われ、食後に行ったカフェバーで、ソファに押し倒され「乱暴されそうになった」という。バーには、ほかの客や服務員はいなかった。留学生は激しく抵抗、性的暴行だけは免れたという。
 留学生は帰寮後、北京市公安局(警察)に訴えた。調べに対し、教授は事実関係を認め、留学生に謝罪文を提出。公安局は七日、罰金二百元(三千円)と国外退去の行政処分を決めた。留学生は刑事処分を免れたことに納得せず、日本での告訴を考慮中という。
 この教授は日本で国会議員秘書などを務め、日中友好運動に従事、中国では知られた存在。六年前から大学教師として北京に滞在、人民大学では二年前、外国語学院教授に就いたが、中国人学生の間では「セクハラ教師」との風評が流れていたという。
 教え子へのセクハラは中国でも普遍的現象。競争社会の中で、学生が教師に擦り寄る傾向が強いのも一因だ。日本人教師の中には、複数の教え子と関係を持ち、大学にいられなくなったケースもあり、ある大学の女性教師によると、日本語を学ぶ学生の大半が「好色」を日本人のイメージの上位に挙げるという。
 国外退去になった教授は、師弟関係にはない留学生に手を出したのが「誤算」になった。かつての師弟関係への思い上がりで失敗したのが、服役中の元国立大教授(六三)のケースだ。
 教授は昨年秋、大学の交流計画で北京師範大学の短期講義に派遣された当夜、宿舎内で中国人女性に乱暴したとして起訴され、今年初め、懲役六年の刑が確定。女性は日本留学時代の教授の教え子で、教授側は、日本での「交際」などを挙げ、「合意の上」と主張したが、認められなかった。
 女性の「打算」に基づく留学中の交際が、女性の帰国で終わったことに、教授は気付かなかったようだ。教授は北京で日本文化を講じるはずだったが、人間関係は情より利害という中国文化の一面を知るのに、払った代償は大きかった。

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 後ろのほうの国立大学教授は、今でも服役中なのだろうか。最後の「終わったことに気付かなかった」というあたりに、哀感が漂う。しかしこれ、誰なのだろう。(ヒント・漱石論をやっていた広島大学教授)  (小谷野敦