藤原書店に敗訴

http://d.hatena.ne.jp/jun-jun1965/20091120
http://d.hatena.ne.jp/sheepsong55/20120604/1338808808
 以上の件で、藤原書店に対し、『環』への謝罪文掲載を求めて東京地裁へ提訴していたが、原告の社会的地位を低下させるほどのものではないということで敗訴した。
 断っておくが、私はむやみと裁判を起こす人間ではない。相手がまったく話し合いに応ぜず、埒があかない時にのみやむなくしているので、山形浩生が謝っているのに高額の賠償金をふっかけて裁判にした人とは違う。今回だって賠償金請求はない。ただ謝罪文中には、粕谷の当該書を絶版にするという文言がある。
 藤原書店といえば、左翼っぽい出版社だと思われているだろうが、創設者の藤原良雄(1947- )は、新評論の編集者から独立した人ながら、寺田博編『時代を作った編集者101』(新書館)の、美作太郎の項目を執筆しており、そこではっきり、マルクス主義に同調できないと書いている。近年は粕谷とひときわ親しいらしいし、最近は皇室典範改正の本なども出していて、天皇擁護平和主義の方向へ舵を切っているようだ。最近、そういう「一条と九条ともに擁護」の輩が多い。
 さて藤原は、『環』に平川‐粕谷対談が載った際の、私の抗議と、反論文を書かせろという要求を何の理由もなく拒絶、その際応対した西泰志は、昨年藤原書店を辞めたらしい。しかしたいていは、抗議があったらそこは単行本にするにしても削除するだろうに、ほとんどそのまま出したのである。そこで内容証明を送ったが、これにも返事がなかった。内容証明に返事をしない企業、しかも出版社というのは、聞いたことがない。
 そこで提訴となったわけだが、答弁書は中身なし、第一回期日も相手方は欠席し、第一回準備書面が事実上の答弁書となり、第二回期日前日にファックスで直送されてきたのだが、これには驚いた。
 相手方弁護士は、関戸勉(一橋大卒)、佐藤大志で、どうも不断は債権とりたてでもやっているらしく、名誉毀損は初めてだったらしい。藤原書店は、平川‐粕谷の対談をテープ起こししただけで、その内容を確認する義務も権限もない、と書いてあるのだ。
 何だこりゃ、と思って裁判所へ行ったら、相手方は関戸だけだったが、裁判官がいきなり関戸を叱りつけて、「これ、どういう法の構成になっているのか」と言う。関戸は真っ青になって、へどもどしている。裁判官は、事実上書き直しを命じた上で、「真実性については争わないということですか。調書をとってもいいですね」と言うのだが、関戸は相変わらずもぐもぐしているから、裁判官は一調子声をあげて、「調書をとりますがいいですね」と決めつけると、もぐもぐ、はい、などと答えていた。時代劇か。
 その後来た準備書面は、今さら、『もてない男』などを持ち出して真実性の証明をしようとするものだったが、これはすでに裁判官調書で争わないとしているのだから、無効であるとした上で、一応反論しておいた。
 以上。
http://www.asahi.com/job/syuukatu/2012/hint/OSK201101250030.html
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