和泉雅子主演の「花嫁は十五才」(1964)という映画を観たら面白かった。これの冒頭近くで、主人公のむく太(山内賢)とひろ子(和泉)が知り合うシーンは、バスの中で座ったひろ子が級友とにぎやかに談笑しているのをむく太が立って遠くから見ている。級友が降りてしまってひろ子一人になる。前に老婆が立っている。つかつかとやってきたむく太が「君、学生だろう。立てよ」と言い、ひろ子は立って老婆が座る。二人は同じ停留所で降りるが、ひろ子がびっこをひいて歩いて行くのを見たむく太が驚いてあとを追い「ごめん」と言う。ひろ子は「いいのよ」と言い、今度はスタスタと歩き出す。むく太はまた追い駆けて(びっこのまねをするなんて)「ひどいじゃないか」と言う。するとひろ子はスカートをまくりあげて、腿に包帯が巻いてあるのを見せ、運動でやっちゃったと言い、怪我しているのは事実だと示す。
「ハノーバー・ストリート」(1979)という、ハリソン・フォードがラブストーリーをやった映画があるが、これに似たシーンがあった。ここではハリソン・フォードがびっこを引いて歩き、レスリー・アン=ダウンが知らなかったと言って謝るが、そのあとフォードはわざとらしく飛び跳ねて、びっこがウソであることを示すが、これは大変いやな感じがしたものだ。監督はピーター・ハイアムズだが、影響関係があるのか偶然かは分からない。「花嫁は十五才」は題名どおり、15歳の中学生であるひろ子と17歳のむく太が結婚しようとして周囲の顰蹙をかう話だが、これは79年の山田太一脚本のテレビドラマ「沿線地図」に影響している気がした。
今だったら、15歳の女子と同棲したら条例で逮捕されてしまうだろう。当時『平凡』に掲載されたという藤原審爾の原作を読んでみたいと思ったが、単行本化されていないのか、題名が違うのか見つからない。内容的には伊藤咲子の「木枯しの二人」(1974)を思わせる。
(小谷野敦)