川端康成と真下五一

日本近代文学館』の月報『日本近代文学館』11月15日の号に「寄贈に寄せて<真下五一について>」という三上聡太氏(同志社大学助教)の研究ノートが載っている。このうち、1961年から62年にかけて「朝日新聞」に『古都』を連載した川端から、京都文壇の重鎮である真下五一への未紹介の書簡が翻刻されている。「十四日」と書いてあり、封筒はないようである。内容は『古都』執筆に際してもらった助言へのお礼である。三上氏はこの中に「二十一日のペンの会には残念ながらお目にかかれませんね」とあるところから、私と深澤晴美さんの『川端康成詳細年譜』に、1961年10月21日に京都でペンクラブ懇親会があったところから、その前の10月14日としているのだが、書簡中には『古都』について、「睡眠薬でもうろうとして書いた」とあり、これは連載終了後の手紙である。『古都』の連載は61年10月から62年1月23日なので、62年1月以降とすべきだろう。

 三上氏は川端の専門家ではないので、小さなことだがここに記しておく。

小谷野敦