佐藤良明辞職

 佐藤良明さんが『諸君!』で、東大辞職顛末を書いている。まあ、内容は予想どおりで、もちろん佐藤さんの言うとおり、むやみと大学院を作り、そこを出た院生の就職先のことなど考えていない大学教授連の罪は深い。人文系学問などは、そう多くの人間がやらなくてもいいのだ。
(活字化のため削除)
 ところで佐藤さんは、今年も文学部のほうで非常勤で教えている。私は昨日ふと、東大で一般教養以外の非常勤をやるというのは、大変難しいことなのだと気づいた。実際、東大比較出身者で、比較の非常勤をやっている人というのはほとんどいない。
 私がずっと阪大でがんばっていれば、いずれは阪大教授だった、などと言う人もいるが、私がいたのは基本的に語学教師の集まりで、言語文化研究科などという大学院はあるが、こういう名前だし、集まってくるのは言語学をやる学生、文学部の院へ行けない学生である。実際、この大学院を出て、優れた学者になった人は、今のところ、いない。
(活字化のため削除)
 (小谷野敦