太平洋戦争と水戸黄門

 ああ、また北村薫先生が落選・・・。それなら候補にするなよと言いたいところだが、考えてみると、筒井康隆も『脱走と追跡のサンバ』みたいな名作が候補にならなかったり、候補を選ぶのも重要な仕事だよなあ。

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「太平洋戦争」というのは、チリとボリビア1880年前後の戦争のことで、大東亜戦争をそう呼ぶのはいかがなものか、と確か呉智英先生が書いていたが、実は日米戦争について、始まる前から太平洋戦争と呼ばれていたことを知った。対米開戦論者の池崎忠孝(赤木桁平)も言っているし、1942年にスメラ民文庫で『太平洋戦争宣言』というのが出ている。まあ、日本としては、シナの共産党や国民党とも戦っているんだという含みだろう。

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時代劇や一話完結のドラマで、最後にレギュラー陣が揃って、事件を回顧しながら、わっはっはと笑いになって終わる、というのを、民放テレビをほとんど観たことがないという人が、理解してくれない、ということがあった。では現物を見せて納得させようと思ったが、いざとなるとなかなかないものである。現在再放送中の「暴れん坊将軍」と「水戸黄門」で最後のほうだけ録画したり、「水戸黄門」の初期のDVDを借りてきたりしたが、DVDのほうは、まるでダメだった。それでようやく、それらしい場面を見つけたのだが、まるで外国人に、日本人なら誰でも知っている風習を教えるような感じだった。「銭形平次」とかあるといいんだが。
 それでついでに「サブカルチャー大百科」ウィキペディアで「水戸黄門」を確認したら、うっかり八兵衛が「チャンス」と言った、などというのが都市伝説であることが分かった。これは確か、私が学生の頃の『ぴあ』の欄外投稿に載っていたものだ。あの当時、カツオとワカメがサザエさんの子供だと思っている奴の投稿が載ったのを、あとで怒りながら指摘していた人がいたなあ。そういえば、マスオさん現象というのを、婿入りすることだと思っていて、サザエさん、マスオさん、タラちゃんは「フグタ」であって「磯野」ではないことを知らなかった人もいたっけ。ところで「磯野」は漢字で書かれるが、「フグタ」の漢字は見たことがない。
 それと、「越後屋、おぬしもワルよのう」という台詞が、実際に何回くらい出てきたのか、分からなかった。
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 堀越孝一先生が、『現代思想』の臨時増刊号でホイジンガについて二ページ書いていながら、『ホモ・ルーデンス』に一言も触れていないことは前に書いた。ところが、堀越先生の『遊ぶ文化』という本があるのに気づいて、ありゃ、別に『ホモ・ルーデンス』が嫌いなわけじゃないのかな、と思って図書館で見たら、かなり学問的なエッセイ集で、表題作「遊ぶ文化」もあったのだが、中にまったく、ホモ・ルーデンスのホの字もなかった。堀越先生、そこまで『ホモ・ルーデンス』が嫌いなんですか…。きっと佐伯順子さんに訊けば分かるだろう。
 ところで『中世の秋』や『朝の影の下で』を訳したのは堀越先生だが、『ホモ・ルーデンス』は高橋英夫だ。『われらが風狂の師』の文庫版解説は高橋が書いており、この小説のモデルが土井虎賀寿であることも書いているのだが、土井の『ツァラトストラ』の翻訳をこてんぱんにこきおろした「青木智夫」というのが、手塚富雄であることは、書いていない。手塚は高橋の恩師だからである。
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 助教授が准教授になって、もともと「准教授、助教授」制だったICUはどうなったのかと思って見てみたら「上級准教授」「准教授」になっていた。何とあほらしい。