「ひとの言葉の起源と進化」
2020年9月11日に日本でレビュー済み
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「「文」とは何か」
2020年9月12日に日本でレビュー済み
文法は難しい、と思っているでしょう、と始まるが、私は高校の時古典の時間が好きだった。それはいいとして、金谷武洋のトンデモ本が出てきて、特に否定されていないのにはたまげた。著者は生成文法を基盤としているようだが、それとは相いれない(そして事実上破綻している)西洋では論理、AかBかが支配しているが日本は違う、みたいなインチキ日本文化論へ飛んでいきそうになり、はらはらしているとサピア=ウォーフの仮説が否定されていたり、ピンカーの著作が勧められていて、はなはだ腰が据わっていない。つまり、言語は人類において普遍的だという立場と、個別に違うという立場のどちらにもいい顔をしようとしている。それに、言語学の理論は西洋の論理に基づいていてくやしい、といった幼稚なナショナリズムだか東洋主義だかがたびたび出てくるのはどういうわけか。中上健次や野坂昭如の文章を引くところも、著者が騒ぐほど難解な文体だとは思わなかった。橋本君、チョムスキーと金谷の両方にいい顔をしようというのは無理だよ
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