プロの手が入る

ぼくらの七日間戦争」という映画を観た。宗田理原作(今も存命、92歳)の角川映画で、私の若いころはやって、中学生がよく角川文庫の宗田本を読んでいた。

 中学生男子八人が学校への不満から工場に立てこもる話で、よくある「反・学校」ものの定型を出ていない。中学生が学生運動をやっているみたいである。理解ある女教師の賀来千賀子宮沢りえを中心とした女生徒三人が差し入れにきて中に入ってしまうとか、要するにリア充中学生映画でしかない。なお私は実際に学生運動をやっていた連中も、リア充なんだろうと思っている。

 最後は機動隊が教師とともに突入するが、縦横に張り巡らされた仕掛けに翻弄される。この仕掛けが、どう見たって「プロの手が入ってい」て、白けてしまう。少し太った子がコックの恰好をしているのもお約束だが、その着付けも明らかにプロ。

 そのあと、宮本輝原作の映画「優駿」を観たが、血統のいい馬オラシオンの持ち主で会社社長の仲代達矢の娘・斉藤由貴が、腹違いの弟・吉岡秀隆が思い腎臓病で入院しているところへたびたび見舞いに行くのだが、そこで正月の挨拶とか節分の鬼とかをやるのだが、その着付けとかお面が、やっぱりプロで、白けてしまう。

 ところで「七日間戦争」は宮沢りえの映画デビュー作みたいなものなのだが、当時かなり人気のあった宮沢りえを、私は当時も今も、かわいいとか美しいとか思わなかった。これは目のせいで、私は目に鋭さがある、持田香織とか多部未華子のほうが好きで、宮沢りえはなんで目のあたりがぼんやりしているんだろう。