先日、テレビの取材が来た。なんか恋愛について意見を聞きたいというので、ビデオを持ってのV取材で、昼ごろ自宅に、初老のディレクターとカメラマンと二人で来た。
 台所にカメラを据えて、私がタバコを吸いながら話していると、ディレクター氏、「それじゃあ、一服してから」と言う。「何言ってんですか、私が喫煙してない映像なんか撮らせるわけないでしょう」とまでは言わなかったが、「ダメですよ、私は吸いながらでないと話せないんですから」と言った。ディレクター氏、「いやあ最近はタバコはうるさくて」と言う。カメラマンも「僕も吸うんですが、肩身が狭くて」と言う。そんなこと私には関係ないのだ。私が渡した名刺は、最近作ったもので、「禁煙ファシズムと戦う会代表」と書いてある。
 それでそのまま撮影が始まったのだが、ディレクター氏、私が、非喫煙映像を拒否した時点から挙動不審で、「今の話を、こうまとめて下さいませんか」と二、三度と言ったのは、ははーん、私がタバコを吸わずに話したところを撮ろうというのだな、と思われた。現に私が、灰皿にタバコを置いた時、彼の眼は光った。しかしそうはさせじと、私は吸い続けた。
 もしかしたら、タバコを離した瞬間の映像だけ流されるかもしれない。宮崎哲弥さん、ちゃんと確認しておいてくださいね。
 いっそのこと、新聞もテレビも、「非喫煙写真、非喫煙映像お断り」ということにしようか。

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内田ジュ先生が再婚されたらしい。新婦友人・大江麻里子という英文学者は1968年生だから、40くらいの人かな。能楽をやるお方らしい。鶴田欣也先生は、末期がんと分かってから三度目の結婚をした。

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O・ヘンリーは、これまでまともに読んだことがなかった。通俗作家とされていたし、まともな批評家で褒める人など皆無だったからである。むろん「賢者の贈り物」「最後の一葉」などはリライトで読んだことがある。しかし、長く読まれているのだしと思い、岩波文庫の『傑作選』を入手、読み始めてびっくりした。
 といっても、よくてびっくりしたのではない。不自然な設定、大して面白くない落ち、さらに、ひねっているけれども底の浅い文体。こりゃ、ひどいと思ってびっくりしたのである。大津栄一郎ともあろう人がこんなものを訳すなんて。(大津先生、最近「右翼」になったんですかね)
 私はかつて、モーパッサンとO・ヘンリーを並べたことがあるような気がする。たぶん「贈り物」と「賢者の贈り物」を同列に置いたからだろう。しかし、とんでもない。モーパッサンは立派な藝術家だ。ひれ伏して謝りたい。
 いや、これほどの通俗作家だったとは…。