一九七八年に、NHKで初のオリジナルアニメとして「未来少年コナン」
が始まると聞いた時、私は「コナン・ザ・グレート」かと思ったのだが、別
にそれはそのコナンを読んでいたからではなく、創元推理文庫にコナン・シ
リーズが入っているのを知っていただけだった。その後、コナン・ザ・グレ
ートが映画化されても観なかったし、読んだのもつい数年前のことで、それ
もちょっと読んだだけで「なんじゃ、こりゃあ」と思ってやめてしまった。
超古代の異世界ファンタジーのヴァイオレンスもので、これはこういうの
が好きな人が読むものだろう。作者はロバート・E・ハワード(一九〇六‐三
六)という米国人で、怪奇幻想小説の雑誌『ウィアード・テールズ』に寄稿
し、単行本にまとまったのは没後のことである。
「草の上の月」は、そのハワードの恋を描いた映画である。ハワード役は
ヴィンセント・ドノフリオ、恋人のノーヴェリン・プライス役がレネー・ゼ
ルウィガーだが、ハワードはたぶん実物よりまともに描かれていて、なんだ
か純文学作品でも書いているみたいである。
しかしこの映画でいいのは何と言ってもレネー・ゼルウィガーである。少
しふっくらしていて、とても色っぽい。いいなあと思い、ほかにどんな映画
に出ているのか調べたら、「ブリジット・ジョーンズの日記」の主演だった
から驚いた。
「草の上の月」の時は二十七歳、「ブリジット・ジョーンズ」は五年後の
三十二歳だし、後者では役作りのために太ったというが、私はこの映画は観
たのに全然気づかなかった。ここが私の映画音痴たるゆえんなのだが、どう
もゼルウィガーというのは、その時々で顔つきが変わって見える女優である
らしい。だが、私にはこの映画でのレネーがいちばんいいと思えた。「ブリ
ジット・ジョーンズ」は女性向け映画で、内容的には面白くなかったから、
そういう人は「草の上の月」を観るとゼルウェガーを見直すかもしれない。