石川淳の短編集『天馬賦』というのがある。『海』に載せたものだが、単行本にする時、編集者が「てんばふ」と言ったら、石川が「あれは『てんばのふ』です」と言ったので、編集者が困ったと、宮田毬栄の本にある。なんで困るのか分からないのだが、単行本、文庫本いずれを見ても、どこにもふりがなはない。国会図書館では「てんまふ」だったから問い合わせたら、国会では中央公論社に聞いて「てんまのふ」にしたという。
 しかし、当初は「てんばふ」か「てんばのふ」だったのだが、「てんま」。まあ普通てんまと読んでしまうが。

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斎藤美奈子が『ちくま』で、また対米従属日本論を書いているのだが、「どう考えても自国に不利益な政策」をとる、それは米国の指図だというのだが、そこに「郵政民営化、TPP参加」があがっている。郵政民営化は小泉の持論で、自民党内で反対されて、参議院で否決されて衆議院を解散して勝利したんだが、それでも米国の意図なのかね。TPPだって米国が入れと言ったというより、乗り遅れちゃいかんというところだと思うが、いずれにしても「どう考えても自国に不利益」とは言えないと思う。
 どう考えても自国に不利益なのは憲法九条くらいだろう。