谷崎潤一郎賞は阿部和重『ピストルズ』に決まった。まあ順当なところだろう。本来なら『シンセミア』で受賞すべきもので、もし報道などで、おっ谷崎賞、とか思って、まだ『シンセミア』を読んでいない人がいたら、こちらを先に読むことをお勧めする。
さて、谷崎賞は、数ある文学賞の中でも、信頼できる文学賞だと、言う人がいる。まあトヨザキさんなんだが、確かに、相対的にはそうだし、20年前まではそうだったと言えよう。しかし、問題もいろいろあって、中上健次を七回にわたって落とし続けたという(それも丸谷才一が先導して)黒い歴史もあり、大西巨人の『神聖喜劇』のような傑作が、候補になった段階で大西が辞退したために、河野多恵子の『一年の牧歌』が受賞してしまったという(いったい当時の文壇関係者以外でこの小説を読んだ人がいるのだろうか)こともあり、選考委員なのに私にくれくれと第一回から円地文子が言い続けて、四回目に仕方なく上げたが武田泰淳は選評全部を使って、選考委員が貰うべきでないと言い続けたとか、野間宏『青年の環』とか臼井吉見『安曇野』とか、本当に選考委員は読んだのかという大長篇もあり、井上ひさし『シャンハイ・ムーン』とか林京子とか青来有一とか、辻井喬『虹の岬』とか、ハンサム辻邦生の西行とか、瀬戸内寂聴はまあ『ここ過ぎて』あたりが妥当だろうに、全盛期が過ぎてから各種賞をもらえるようになったとか、高樹のぶ子『透光の樹』とか『センセイの鞄』とか『ミーナの行進』とか、村上龍が『共生虫』でとるとか、決して90年以降はいい賞とはいえない、どっちかというとその作家の最高作を外す傾向があるのだ。あと私は倉橋由美子の『夢の浮橋』とか、金井美恵子の『タマや』とか富岡多恵子『波うつ土地』とかに上げてほしかった。こういうのを割と外しているのだ。
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http://news.nifty.com/cs/headline/detail/sankei-snk20100823094/1.htm
「君が代」歌わせる番組があるってことに驚く。