2015-02-01から1ヶ月間の記事一覧

円紫さん第二弾

北村薫さんの「私」第二弾は『小説新潮』二月号の「女生徒」である。題名から分かる通り、太宰治の「女生徒」がネタである。友人に教えられて「女生徒」を読んだ「私」は、その元ネタが有明淑の日記であることを知り、旧知の教授から借り受けて対照しながら…

高橋弘希の『指の骨』は、大岡昇平の「野火」を引き合いに出す人が多くて、お前らそれ以外に戦争小説を知らんのかいと言いたくなったが、大岡の『野火』を、『俘虜記』の冒頭「捕まるまで」(原題・俘虜記)と混同する人が多い。「野火」は飢餓の極、死体の…

眼鏡萌えの作家

『カラマーゾフの妹』を読んだら、アリョーシャが犯人にされていた。イワンは多重人格者で、コンピューターが出てきたり「プリントアウト」が出てきたりする。妹っても生まれてすぐ死んだ妹なんで事件には関係ない。授賞に反対した今野敏が正しいと思う。東…

文学少女のその後

北村薫さんの「円紫さんとわたし」シリーズの新作が、『小説新潮』一月と四月号に載っており、一月号の「花火」を読んだ。「わたし」も私と同じくらい年をとり、89年に大学二年だったから、46歳くらいで中学生の子供がいる編集者になっている。担当作家が大…

私はアダルトヴィデオを観ていても、昔から強姦ものというのは苦手だった。それでも若い頃は何とかなっていたのだが、今ではほぼ受け付けない。とにかく女が嫌がっているAVというのが嫌なのである。最近、とみに嫌なのが「中出し」もので、女が本気で嫌が…

法政大学への抗議文

抗 議 文 法政大学総長 田中優子 殿 法政大学文学部長 高橋敏治 殿 私は比較文学を専攻する小谷野 敦と申す者です。 先般、雑誌『出版ニュース』に連載しております私のエッセイ「凍雲篩雪」に掲載された文章を私のウェブログに掲載しましたところhttp://d.h…

粕谷一希のいいかげんさ

粕谷一希の『生きる言葉』(藤原書店)を見たら、粕谷も松岡正剛と同じで、川端の『雪国』の成立過程を知らず、冒頭の「国境の長いトンネルを抜けると・・・」が最初に書かれたと思っているので、嫌になってしまった。 なんかそのことは、粕谷と松岡が「編集者…

昨晩、NHKの「ファミリーヒストリー」という番組で、水海道小学校の和洋折衷建築を設計した宮大工を先祖にもつ羽田美智子が出演して、ほぼ明治からの羽田家の歴史をやっていた。この番組のことは、水海道小学校の歴史を書いた名村栄治さんが年賀状で教え…

改称提案

東大比較文学では、芳賀徹、平川祐弘、亀井俊介、小堀桂一郎を「四天王」と読んで参りましたが、そろそろ学士院会員・川本皓嗣を加えて「五大老」と改称すべきではないかと考えます。みなみなさま方の賛同をお願いいたします。

ちゃんと書いとけ

私は確定申告に「変動所得」を使っている。これは文筆家のように、年によって所得に大きい差が出る職業の者に認められているのだが、その書類には「漁獲やのりの採取による所得、はまちやまだい、ひらめ、かき、うなぎ、ほたて貝、真珠、真珠貝の養殖による…

大江健三郎の名作

『江藤淳と大江健三郎』刊行前祝い(?)で、大江の名作をリストアップしてみる。 「奇妙な仕事」 「空の怪物アグイー」 「セブンティーン」 『個人的な体験』 『万延元年のフットボール』 『自らわが涙をぬぐいたまう日』 『キルプの軍団』 「静かな生活」 …