私は確定申告に「変動所得」を使っている。これは文筆家のように、年によって所得に大きい差が出る職業の者に認められているのだが、その書類には「漁獲やのりの採取による所得、はまちやまだい、ひらめ、かき、うなぎ、ほたて貝、真珠、真珠貝の養殖による所得、印税や原稿料、作曲料などによる所得」と書いてあっておかしい。
さて昨年度の計算をしていた。これは前年(2013年)と前々年の所得を合算し、五分の四にして昨年所得から引くのである。ところが、引くとマイナスになってしまった。2013年に『世界史』が売れて一千万超えたせいである。私は税務署に電話して、マイナスになったのだが、と言うと、ではマイナスとして記入してください、と担当税理士(女性)が言う。これは△を頭につける。さてそこで計算していくと、どうもおかしい。それでもう一度電話すると、今度は別の女性税理士が出て、妙にはきはきした口調で、おっ、とわりあい好感をもったのであるが、この人が、調べてかけ直してきて、今回は変動所得は使えない、と言う。そこがマイナスになると変動所得は使えないというのだが、そんなことは書類に書いてない。私がそう言うと「そうですよね、書いてないですからね」と言ったが、コラ税務署、お前はちゃんと書いておけ。