ライターNの「皆さん」

 『週刊朝日』の書評欄は、本紙の文藝時評に移った斎藤美奈子に代わって荒川洋治が再登場したが、いちばん長く連載を続けているのが、鬱陶しいライターNである。今回は、小沢昭一のストリップ本。一条さゆりの公判記録が載っているそうだが、小沢昭一って加藤詩子『一条さゆりの真実』で、公判で証言もしなかったといって批判されていたんじゃなかったっけ。
 ところで可笑しいのは次の一節「足繁く通うというほどではないが、私はストリッパーの皆さんの芸、そして劇場内のあの雰囲気が大好きなので」。なんでしょうか「ストリッパーの皆さん」って。政治家が「国民の皆さま」とかいうのとよく似ている。誰も、「俳優の皆さんの演技がすばらしく」なんて、どこかの挨拶でもなけりゃ言わないよね。
 ストリッパーだからといって差別してはいけない、私は差別してませんよという意識が、この「皆さん」を生んでいるのは、よく分かりますね。その上、私は陋劣な欲情を抱いてストリップへ行くんじゃありませんよ、と言いたげな文章ですね。隣の荒川さんなんか、ストリップへ行くと、女の人のあそこがピカピカ光ってきれいである、わーい、と書いていたが、それとは対照的で、Nが「偽善者」なのは、よく分かります。だから鬱陶しいのです。
小谷野敦

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大仏次郎 敗戦日記』(草思社)が、昨年文春文庫から『終戦日記』と改題、増補されて出ている。恐らく高見順の『敗戦日記』が同文庫にあるから、それとの区別のためだろうが、それにしてもこれは語の間違いである。日本が米英と「終戦」したのはサンフランシスコ講和条約の時であり、「敗戦日記」が正しいのである。朝鮮戦争は未だに停戦しただけであって継続中、終戦はしていない。

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http://d.hatena.ne.jp/hazama-hazama-hazama/20080502

歴史学においてジェノサイドとは、以下だが、じゃあサン・バルテルミーの虐殺はどうなのか、イスパニアによるインディオ大虐殺はどうなのか。いやすまん、禁煙ファシストであることに気づかずにコメントしていたよ。なんで新幹線を全面禁煙にする必要があるのかね。国民国家がどうとか言っておるが、しかり、ヒトラーの大虐殺は禁煙ファシズムと同質の、世の中をよくしようという意識から来ている。フランス革命だってポル・ポトだってそうだ。生齧りのカルスタ風知識を振り回しつつ禁煙ファシストであるというのは、根っからバカとしか思えないね。自動車の害を隠蔽するための禁煙ファシズムであり、それが資本制の陰謀であることくらいが分からないで、国民国家だって。
 だいたい、「正式に謝罪を」って、それなら実名でするがいい。匿名の卑怯者どもがやりあって、正式な謝罪なんてちゃんちゃらおかしいぜ。愛犬家とともに死ねばいいのに。バカが意見を言っているいい例だ。ほら、誹謗中傷したから、正式に謝罪を要求して来い。ただし書面で、実名を入れて行うこと。でなきゃ正式でも何でもないからね。匿名の人間に謝罪を要求する権利なんかないのだ。

(付記)
ジンバブエ南アフリカ共和国が、白人支配から黒人支配に変わると、今度は白人が迫害に遭う。もちろん革命の前と後だってそうだが、言論は同じようなことを言っていても、その時の時勢によって権力側にもなり反体制側にもなるのだ。