分かりやすい話

「これから出る本」の五月下期号に黒田龍之助が随筆を書いていた。「ボクには早い『カラマーゾフ』」という題で、たぶん明大理工学部時代の教え子の青年が、『カラマーゾフの兄弟』を読んで(ただし亀さま訳にあらず)「ボクにはまだ早いかな」と言ってきたという。黒田は、ロシア文学にはドストだけじゃなくて面白い作品がたくさんあるよ、と書いている。その通りだ。さては黒田氏もドスト嫌いか? と嬉しくなった。大学を辞めたあたりも好感をもつ。