差別しているかもしれない

フレデリック・ワイズマン監督のドキュメンタリー映画「ニューヨーク、ジャクソンハイツへようこそ」を観た。長くてつらいところもあったが、ぎょっとしたのは最後のほうで、身分証か何かをもらうための面接の準備で講習をしているところで、「東西南北」にあたる英語を教えるところだった。講師は、サウスをシューズに、右手で食べるからイートをイーストに、尻をふくのになぞらえてウェストをウォッシュに関連づけて覚えさせるのだが、この映画ではラテン系移民が多いのでイスパニア語で話していることが多いのに、この時は英語だったのだ。

 私はヴァンクーヴァーにいた時、飲食店の店員で英語が分からない人を見たこともあるが、この場面で講習を受けている人々は、英語は分かるのだが東西南北に当たる言葉を使ったことがないらしい、と気づいて私はショックを受けた。

 もし心の中で差別したのも差別なら、私はこの人たちを差別しているかもしれないと思った。