高野史緒さんの何かの本のあとがきに、クラシック音楽を学ぶのにバッハやベートーヴェンから聴かなければいけない、などということはないし、文学を学ぶのに聖書やシェイクスピアから読まなければいけない、などということはない、映画音楽から入ってもいいし、現代作家から入ってもいい、と書いてあった。
しかし、「バッハやベートーヴェンから聴け」などと主張している人はほとんどいないのではないか。もちろん少々頭のおかしい人がそんな主張をしていてもおかしくはない。
問題なのは、音楽の場合、別にクラシック音楽を聴かなくてもいいので、それは単なる一般人はそうでもあろうが、文学の場合、いつまでたっても、今話題の、現代の作品とか、話題の新訳とかそんなのばかり読んでいて、それでいてワナビ、というような人である。こういう人は治療のしようがないのかもしれない。