http://sankei.jp.msn.com/life/news/140427/bks14042709320008-n1.htm
まあ、私の名前が新聞に出るだけで珍しいことなので、石原氏はそのためもあってあえて出しているのだろう。昔の新聞だったら、これに私が答えるということもあったのだが、今や文藝にそんな存在意義は認められていないのと、新聞紙上での論争自体がないからそういうことはない。
私は『こゝろ』にも感動しないし、感動に理由がないとも思えない。だが、石原氏に、どこかで答えてもらいたいのは、私が『さようなら、オレンジ』は直木賞ものではないか、通俗的な感動ではないかとした点で、これは田中弥生さんも同じことを言っているはずで、私の記憶では石原氏は、純文学と通俗小説の区分についてまとまった考えを書いたことはないように思う。
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エリザベス朝にジョン・リリーという劇作家がいて「ユーフューズ」という喜劇を書いた。euphemism(婉曲語法)という語はこれが起源だと英文科で教わった。『英米文学辞典』にもそう書いてある。だが、『新潮』の大江健三郎と古井由吉の対談を読んだら、ギリシャ語起源だと言っていて、驚いて調べたらそうであった。私は30年間英文学に騙されていたのか。
(小谷野敦)