時岡四姉妹

 『文學界』新年号に谷崎昭男「『細雪』もう一組の四人姉妹」が載っている。昭男は潤一郎の弟・精二の次男で、1944年生まれなので67歳。後妻の子なので若い。相模女子大名誉教授で、保田與重郎の弟子、保田全集を一人で編纂した人である。
 内容は、『細雪』の時代である昭和十年前後に、神戸に時岡四姉妹という美人姉妹がいたという話で、写真が出ているが確かに美人姉妹で、『細雪』の森田四姉妹よりずっと美しい。潤一郎はこの四姉妹を知っていたから、『細雪』で「時岡」にくさかんむりを加えて「蒔岡」としたのではないかという話である。小磯良平は、その次女道子をモデルに『新女苑』の表紙を描いたという。これは昭和12年1月からだが、昭男は、谷崎は小磯からそれを聞いたのではないかと推定している。しかし、谷崎と小磯の接点は、私の知る限りただ一度、1940年3月30日に、池長孟が美術館を開く前日のパーティである。
http://www.suzuki-seiichi.com/monthly/0703/m0703.htm