http://naokiaward.cocolog-nifty.com/blog/2011/12/36311956-6c06.html 
 これを読んで、そうだそうだ、と思った。今東光が追放されたって、谷崎や川端がついているんだから、おいそれと完全追放ということはない。
 その直後、平浩一という人の、もう一人の「追放された」作家・龍胆寺雄についての論文を読んで、呆れてしまった。龍胆寺は、菊池寛や川端を攻撃した「M・子への遺書」で文壇から追放されたというのだが、実際にはその後も『中央公論』に作品を発表しているのみか、直木賞候補にもなっているし、戦後はその川端が重役をしている鎌倉文庫から本を出しているし、『新潮』にも小説を載せている。ただ、サボテンのほうに夢中になって、作家としても大したことがなかったから忘れられただけである。なんか、すごい作家なのに追放された、と思い込んだ人たちが「全集」まで出して、詳しい年譜までついたから、まあこれで「追放伝説」もおしまいだなと思っていたら、この平という人、依然として「追放された」と言い張っている。注はたくさんついているが、それは要するに「追放された」というデマが記してある書物ばかりである。
 しかもこれ、紀要論文じゃなくて、ちゃんと査読のある『日本近代文学』って学会誌に載った論文である。私が査読者だったら、きっちりコメントつけて没にするね。だから査読は信用できない、特に日本近代文学会はひどい、ってことだ。