『國文學 解釈と教材の研究』の1978年3月号は「日本のおんな」特集で、これに松田修の「遊女百科」という文章が載っている。古代から近世までが松田の担当で、近代は前田愛である。松田修独特の、曲がりくねってかっこうをつけた文章で、古典文藝に出てくる遊女を論じているのだが、ははあ、これが『遊女の文化史』の下敷きだなと気づいた次第である。『江戸異端文学ノート』所収である。
 とにかく松田の文章は、学問的規矩から外れた途方もないしろもので、私は『松田修著作集』の月報に寄稿を求められて断ったことがある。もちろん、この文章も、学問としては全然認められないものだが、遊女が聖なるものであるとかいうのは、どうも松田修が本格的に言いだしたことのようである。