身がわり

 といっても有吉玉青の本のことではない。私は有吉玉青は、美人だし東大大学院だし、文章も割といいし、好きなのであるがあまり決定打がない。
 それはいいとして、先日いきつけの図書館で予約した本を受け取るとき、菊版くらいの本の大きさのものをピンクの、まるでプレゼントの包み紙のようなもので包んだ上に、「小谷野敦さま」と書いた紙が貼ってあるものを目にした。何だろうと思ったが、どうも私へのプレゼントではないらしく、別に何も言われずじまいだった。
 それが今日行ったらまたそれを目にして、用途が分かった。予約された本は、カウンターの後ろの本棚に並べられるのだが、私の借りる冊数が多いので、時おりそのピンク本を、代本板として入れておいて別置してあったのだ。そしてその「本」の背表紙に当たる箇所に「みがわり」と書いてあったのである。

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久米正雄伝』147pで、菊池寛から久米宛の手紙について、庄司達也氏の論文をひいて、庄司は二十八日としているが写真で見ると二十九日である、としたのは、着局の消印で、発信は二十八日でした。庄司氏にお詫びし訂正いたします。