最近の川端康成文学賞受賞作をまとめて読んで、やや溜息なり。いわゆる、身辺雑記私小説が二つほどあった。川端賞はかねてその傾向があるのだが、結局こういうものを読んで、私小説ダメ説を抱く人がいるから困るので、私は身辺雑記私小説がいいとは言っていない。『死の棘』とかそういう名作私小説もあるわけでね。西村賢太とかにとってほしいね。
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伝記を書くなら関係者に取材するものだといったことが「常識」のようになっているのは、最相葉月の『星新一』が売れたせいではないか。ああいう、主役の不遇感を強調するもので、かつ没後さして時日がたっていない人の場合と、遺族が、何としても醜聞(他人からすれば大したことはない)を表に出すまいと頑張っている場合とでは全然違うので、後者は取材をしたらかえってまずいことになる。「これは書かないで下さい」と言って面白い話を打ち明けられたりするのだ。