ヘレン・ケラーに関する誤解

 横山雅彦という人の新刊を見ていたら、ヘレン・ケラーが水を認識する場面について書いてあったが、あれはヘレンが失明する前に「water」という単語を覚えていて、忘れていたのを思い出したのである。しかしこの著者は、何やらその時点で、物には名称があるということをヘレンが初めて理解したかのように書いていた。そう誤解している人が多いのだが、あの時のヘレンの年齢からいって、そういう能力はもう失われているはずだというのが言語学の知見である。
 これは前に書いたかもしれないが、なかなか誤解というのは解けないものだ。あと『奇跡の人』ミラクル・ウォーカーというのがヘレン・ケラーではなくてサリヴァン先生であることも。