憎まれっ子世にはばかる

 最近、訃報が多い。しかし「ああ、こいつやっと死んだか」というような訃報はないものである。死んで欲しくない人、別にさほどの害を与えているとも思えない人に限って死ぬ。これは過去にさかのぼってもそうである。誰だって最後は死ぬのだから、一人くらい、死んでよかったの類がいても良さそうなのだが、なかなかいない。
 さて以前書いた、高校時代のいじめっ子久木尚志だが、北九州市立大学の教授と同一人物であると判明した。写真があったから。
http://www.kitakyu-u.ac.jp/foreign/in/hisakihisashiin.htm
 どうです。悪人面でしょう。しかもいちばん下の語「裏の裏」がひときわぶきみ。
 さて、久木は、改心して労働史などやっているのであろうか。そうではないらしい。実は久木の近傍にいる某氏から手紙が来て、長年久木の陰湿ないじめにあっていると訴えてきたのだ。どうやら学内で絶大な権力を握り、学部長の選出にまで久木の意向が通り、キングメーカーと呼ばれて、お山の大将よろしくやっているらしい。労働史などやっていたのも、単に広島大学の指導教官にあわせただけらしい。某氏は、久木に死んで欲しいと思っている人はたくさんいる、と書いている。いやあ、三つ子の魂百までというか、悪は死ななきゃ治らないというか。
 (小谷野敦