六月五日頃に出そうかと思っていたのだが、せっかくの世界禁煙デーなので、本日東京高裁へ控訴状を提出してきた。
 なかなかひどい判決であった。その真意は計りかねるが。
 なお裁判官は石川重弘。
被告指定代理人は、田上智子、齊藤みち代、木付正浩、中野滋文、武田康久、森田博通、成田貴雄、村重直子、元村仁である。中野は第二準備書面から加わった。成田、中野、森田は厚生労働省、村重は国立がんセンター、武田は山梨大助教授のようである。



                控 訴 状            
                   平成18年5月31日
 東京高等裁判所 御中

                控訴人    小谷野 敦
                被控訴人 国
               代表者法務大臣  杉浦 正健
損害賠償請求事件
訴訟物の価額  金10万円
貼用印紙額  金1500円

 前記当事者間の東京地方裁判所平成18年(ワ)第674号損害賠償請求事件について、東京地方裁判所民事第6部が平成18年5月24日言い渡した後記の判決は全部不服であるから控訴を提起する。
 
 原判決の主文
  1、原告の請求をいずれも棄却する。
  2、訴訟費用は原告の負担とする。
 控訴の趣旨
  1、原判決を取り消す。
  2、被控訴人は、控訴人に対し、金10万円を支払え。
  3、訴訟費用は第1、2審とも被控訴人の負担とする。
 との判決並びに仮執行の宣言を求める。
 
 控訴の理由
 原判決は、控訴人が原審において提出した証拠のいくつかを黙殺した不当なものである。
 一、原審において控訴人は、「受動喫煙」なるものの害が科学的に十分証明されたものではないことを甲3号証によって証明したが、被控訴人はこれに対し何らの反証も提出していない。にも関わらず原判決は判決文5頁において「受動喫煙」の害について、あたかも科学的事実であるかのように記しており、被控訴人側に偏った判決であると言わざるをえない。
 また原判決6頁第十行に、たばこと酒・アルコールや自動車の走行との間に憲法14条違反があるという主張に対する「直ちに憲法14条に違反するものではない」とあるが、「直ちに・・・ない」ということは長期的にはありうるということであり、その点について議論が徹底されていない。
 また同11−14行は、最高裁判決における、たばこが嗜好品として定着しているという文言との矛盾、酒との差別的取り扱いについて判断を行わず、被控訴人側に偏った判決である。
 また同頁24−25行に、東京地裁判決の、タクシーを全面禁煙にするのが望ましいという提言が、「禁煙タクシーを円滑に利用できるようにするための提言として述べられたものであることが明らかである」とあるが、まったく明らかではなく、7頁5−7行において、「上記の意見は、利用者のうち喫煙者及び非喫煙者の双方の立場を考慮してされたものであることが明らか」であるとしているのも、タク
シーを全面禁煙にするよう提言することは、喫煙者及び非喫煙者の双方の立場を考慮してなされたものではなく、嫌煙者ないしは禁煙運動家の立場のみを考慮してなされたものと言うほかなく、全体にわたって非論理的である。従って裁判官がこのような意見を述べることは職権濫用、越権行為、違法行為である。
 また平成18年5月9日、横浜地方裁判所小田原支部におけるやはりタクシー運転手による損害賠償訴訟において尾崎智子裁判官は、タクシーの全面禁煙化が望ましいとする意見を述べたが、同裁判官は、最終的にタクシーを全面禁煙にすると述べており、とうてい喫煙者の側にたった判決とは言いがたく、司法がさらに犯した喫煙者に対する迫害行為であり、嫌煙家および禁煙運動家のイデオロギーに則った判決であり、併せて高等裁判所の判断を改めて仰ぐ次第である。