笙野頼子「発禁小説集」を読む

「群像」から追い出された笙野頼子が鳥影社から出した「発禁小説集」を読んだのだが、中にはトランスジェンダーとは関係ないのも、それは少ししか書いてないのもあった。質屋へ行く話が痛々しかったが、宝石とか時計を入れているので、ああそうか質屋というのはそういうものを入れるのかと思ったが、ワインというのもあって、ワインなんかなんで持ってたんだろう、酒飲みなのかなと色々謎だったのと、本を売るとかいうことはないのかと疑問だった。

 鳥影社との縁は『季刊文科』という雑誌に短篇を依頼されて縁ができたということである。事実誤認がないよう精密に校閲をしてもらったということだが、「子宮」と書いたために文壇から追われた女性作家がいた、というのは瀬戸内寂聴のことだろうが、これは疑わしい。「花芯」がエロティックだと批判されて、反論を書かせてくれと斎藤十一に泣きついたら、作家がそんなことでどうすると叱られたというのだが、そのあと五年書かせてもらえなかったというのは、泣きついたからなのか「花芯」を書いたからなのかはっきりしないのである。それに五年というのは、今考えるとずいぶん短い謹慎期間だなと思う。瀬戸内が文学賞を29年貰えなかったのは長いなとは思うが。