吉村忠典(ただすけ)「古代ローマ帝国」(岩波新書)

 高田康成が名著だと書いていたので、吉村忠典(横浜国立大名誉教授)の「古代ローマ帝国」を借りてきて読み始めたのだが、いきなり「帝国」といっても皇帝がいるとは限らないと書いて、アメリカやソ連を「帝国主義」と言うとか書いてあったのでちょっと頭を抱えた。それは古代ローマ帝国からの類推で大国が他国を支配するのをマルクス主義で「帝国主義」と言ったからで、英国が本家本元だがここも皇帝はいない。我慢して先を続けると、ローマの執政官のことを「大統領」と訳しているので、この人は君主制と共和制の区別を曖昧にしたい人なのかなと思って、読むのをやめた。これはキケロの「ウェレス弾劾演説」を史料にして書かれたものだという。