映画「ラーゲリより愛を込めて」の感想

 角川春樹の姉の辺見じゅんのノンフィクション「収容所から届いた遺書」を原作として瀬々敬久が監督したもの。ラーゲリでの11年の抑留の間人々を文芸活動などで励まし続けたインテリ山本幡夫が、ガンのため異国で死んでしまい、家族に宛てて遺書を書くが、ソ連兵に取り上げられる恐れがあるため四人がそれぞれ暗記して、1957年の帰国後に伝えに来るという、ちょっと「永遠の0」に似た感動ドラマで、最後が2022年、山本の長男が息子の結婚式であいさつをするという締めで寺尾聡の特別出演となるのだが、山本の長男ならこの時80代で、それだと息子の結婚式ではなくて孫の結婚式じゃないかと思う。

 しかしウィキペディアを見たら、その「遺書」なるもの、1955年にソ連を訪れた社会党の訪問団の戸叶里子に写しが渡されて、家族はすでにそれを見ていたという驚きの事実があり、辺見の本にもそのことは書いてなかったという。確かにこれでは感動の実話が台無しになってしまうというわけだ。まあラーゲリを描くのは日本を被害者として描くことになるからちょっと右寄りな映画です。