映画「酒とバラの日々」の感想

ジャック・レモン主演、ブレイク・エドワーズ監督の白黒映画「酒とバラの日々」(1963)は、アメリカ映画で私が観た三つ目の「アル中映画」だ。「失われた週末」(1945)も「愛しのシバよ帰れ」も、アル中で断酒中の男が出てきて、途中から酒に手を出すという筋立てだが、「酒とバラ」は、結婚した二人が、最初から酒を呑んでいて、だんだんアル中になっていき、男のほうはいかんと気づいてAAへも行くんだが、妻は自分がアル中だと認められず(否認の病)、最後は男の家を出てとぼとぼ歩いていくという最もホラー味の強いものになっている。

 私も以前、アル中じゃないかとある人に指摘したら、本当に怒ったから、ああ否認の病なんだなと思った(なおニコチン中毒はさほど否認の病ではない。)

 しかしアメリカで三本も作られているのに、日本でアル中映画を観たことがないのは、やはり日本が、コンビニで普通に酒を売っている酒に甘い国だからだろうか。私は太田房江大阪府知事になった時、前の妻の父親が、あの人は酒が飲めるそうだからいい、と言うのを聞いて嫌になったことがある(そのくせこの人は猛烈な嫌煙家だった)