映画「あちらにいる鬼」レビュー

井上光晴瀬戸内晴美の情事を娘の井上荒野が描いた小説の映画化だが、私はまだ原作を読んでいない。図書館で大勢待っていたからで、今見たら一人待ちだったので予約を入れた。寺島しのぶ豊川悦司で、トヨエツは私と同年だからずいぶん若い役をやったことになる。妻が広末涼子で、一貫して怖い顔をしており、そのため陰惨な感じの映画になっている。

 私は瀬戸内の小説はそこそこ読んでいるが井上光晴をちゃんと読んだことがなく、いつでも挫折してしまうのと、誰も「この作品がいい」ということを言わないので、どれを読めばいいのか分からないからである。文学賞もとっていないし。それに、こういうことは作家本人が描くものじゃないかと私は思っていて、こんな生活をしながらそれを小説にしないで娘にやられるなんて、情けないじゃないかと思ってしまうのである。