よくない批判の仕方

 堀啓子さんの新著(初の単著)『日本ミステリー小説史』(中公新書)をいただいた。アマゾンでたちまち一点レビューがついた。私も、必ずしも出来のいい本だとは思っていない。既に伊藤秀雄『明治の探偵小説』があり、特にそれを超えていない気がするし、文章がところどころ歯切れが悪い。しかし、アマゾンレビューは匿名だからその点でいかんとして、内容的にもいかん。

まず、そもそも、この著者は記述の対象としている作家の作品をまともに読んでいるのか大いに疑問です。記述のあちこちに「孫引き」ではないかと思われる作家や作品の評価が散見されます。なかには、作家の言いたい趣旨とは逆ではないかと突っ込みを入れたくなるような評価が幾つかありました。他の評者が書いている評論を参考に(著者自身は対象作品自体を深く読まないで)誤解したまま記述してある個所が少なくないように感じます。(これが私の誤解だったら謝ります。が、こう断言する自信あり)

 それなら、具体的にどの作品か書くべきであろう。私もレビューで「批判が著者にそのまま返ってくるようなところがあり」などと書かれると、それは具体的にどこか言え、と思ってイライラする。その点、アマゾンでも理系の批判的レビューは具体的に書いてあることが多く、いいなあと思うことが多い。 
(付記)その後コメント欄で具体例の追記があった。