2010年ころ、筒井康隆が「朝日新聞」に読書自伝エッセイを連載し始めた時は驚いたもので、というのは、朝日に限らずその当時新聞は、禁煙ファシズムを批判するような人には書かせなくなっていたからである。そして筒井は、煙草については書かなかった。だから、ははーん何か申し合わせがあったんだなと思っていたのだが、確認しようと、単行本になった『漂流』を図書館で見てきたら、コンラート・ローレンツの『攻撃』を扱った章で、「喫煙者に対する種内攻撃」というフレーズがあった。
 うーん、と考えたのだが、やはり私がこういう連載をしたら、『すばらしい新世界』をとりあげて、まるごと一回禁煙ファシズム批判にするだろうなあ。