昨年だったか、「図書新聞」は私の本を書評しないが、それは過去にトラブルがあったからだと聞いた。私は全然記憶になかったので、勝手にあっちでトラブル扱いしたのだろうと思っていたが、古いメールを見ていたら、わけが分かった。2006年に、内藤朝雄との対談企画が流れていたのだ。
 その少し前に、内藤が宮台らと出した本があって、私が批判したら、当時ブログがあった内藤が言い返してきた。それで私は、内藤の最初の本は文章で批判しているのだが、それは読んだかと訊いたら、内藤は「そんな質問に答える必要はない」と言い、『大航海』に載せるはずの私の原稿を事前検閲しようとしたのである。
 私の批判は簡単なことで、いじめは大人社会にもあるのではないかということである。内藤は、前の本の最後では、そのことにも触れ、今後の課題としたいと書いていたのだが、先ごろ出した本では、相変わらず子供の話だけである。
 で、それを見て対談企画が持ち込まれたのだが、私は、対談だとなあなあになりがちなので、往復書簡形式にしたいと言ったのである。すると流れてしまったらしい。その後も私は担当者に、本が出ると送っていたのだが、何も言わなくなっていた。
 まあ今の私なら、対談でも言いたいことが言えるだろうが、当時はそこまで度胸がなかったのである。にしても、対立がはっきりしている場合は、往復書簡のほうがいい、という考えに変わりはない。
 それに、「図書新聞」は、石原千秋によると左翼的な新聞らしいが、宮台なんて私は右翼だと思っていて、そのスタンスが実におかしい。それで、媒体が明らかに内藤寄りなので、私が渋ったのである。
 別に「図書新聞」が私の本を書評しなくたっていいのだが、内藤は私の批判に対してちゃんと答えるべきであって、へらへらとヨイショインタビューに答えている場合じゃないと思う。 

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 荒木優太(1987- )氏より著書をいただく。同氏は明大大学院博士前期課程修了だというが、誰に師事したのやら。