越谷市役所で、霊柩車費用の申請をしたら、葬儀社の明細がないというので、次に行った時持っていったら、今度は領収書がないと言う。郵送ではダメか、と言うと、ダメだと言う。それでぽろりと、喪主も市民であることが原則なので、と言ったのである。
しかるに霊柩車費用の申請用紙には、死んだ人が市民、あるいは喪主が市民のいずれか、と書いてある。おかしいではないかと問い詰めたら、頭ははげているが私より年下なんじゃないかという係員が、条例の要綱に書いてあるという。それは誰が決めたのか、と言うと、平成十七年に…などと説明を始めるから、一調子声をはりあげて「誰が決めたと聞いてるんだ」と言うと「市長です」と言う。議会は通っていないという。
それなら最初から、喪主も市民でなければ支給されないと言え、と怒鳴りつけたのだが、あとで用紙を見たら記した通り、死んだ人が市民ならそれでいいのである。結局、郵送でもいいということになったのだが、たいていの人は引き下がってしまうんだろうか。よく今まで苦情が出なかったものだ。
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私は、看護婦を看護師と言い換えるような「看護師ファシズム」と戦っている。法律で看護師に統一されたから、などと言うのだが、女の看護師を看護婦と言っていけない理由はない。それなら、少年法では、男も女も「少年」なのである。「少女」と言ったらいかんのか。「女性看護師」などというわざとらしい表記をするなら、「女性少年」とか言わなければいかんのではないか。
(小谷野敦)